内容説明
人間が肉身のまま仏になる即身仏――霊山・出羽三山に数多く残る即身仏の調査をもとに、日本のミイラ仏研究の足跡を記した貴重な書。即身成仏の真髄を語る秀快上人をはじめ、“捨身入定”を実行した待定法師の最新調査成果を盛り込みながら、神秘のヴェールに包まれていたミイラ仏の謎に迫り、その思想的な背景を探る。
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目次
第1部 ミイラのメッカ出羽三山(湯殿山系即身仏 湯殿山の神秘)
第2部 日本文化の中のミイラ仏(空海の入定説話と即身成仏理論 古代日本の穢と浄 ほか)
第3部 諸種の思想によるミイラ仏(薬師信仰と宥貞法印 浄土信仰と舜義上人 ほか)
第4部 中国の禅とミイラ(曹洞禅の始租・石頭希遷 幽玄美と六祖慧能 ほか)
第5部 「新・ミイラ仏」誕生物語(念仏僧の入定 無能和尚の感化 ほか)
感想・レビュー
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篁はいね
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幼稚園の頃、吉村作治に憧れて「大きくなったらエジプトに行ってミイラを掘る仕事をしたい」と考えていた。 あれから危うく20年経って、日本だけどミイラの本なんて読んで、しかもそれをこれから勉強しようとしている。 過去に思いを馳せつつ、私を宗教史へ誘ってくれた教科書的存在。
ホンドテン
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図書館で、廃刊となった松本(1985)の増補版なので手に取る、表紙違うけどこれでいいんだよね・・・増補分としては一部写真の刷新と、表紙にもある柏崎の入定僧侶遺体(ミイラとは言い難い)の発掘と復元の一章。髑髏が微笑んだなどと情緒的に書き出しているが、僧の業績の紹介、発掘された入定墓から阿字観法の解説に至る著者のスタンスは学術に徹している。事実上の再読になるが、即身仏というには思想的に躊躇のあるミイラ達の発生に輪郭的な繋がりを想像させつつも明確な理論的骨格を見出し得ない所に変わりはない。2020/01/11