内容説明
ある日、突然にひとつの町から住人が消失した――三十年ごとに起きるといわれる、町の「消失」。不可解なこの現象は、悲しみを察知してさらにその範囲を広げていく。そのため、人々は悲しむことを禁じられ、失われた町の痕跡は国家によって抹消されていった……。残された者たちは何を想って「今」を生きるのか。消滅という理不尽な悲劇の中でも、決して失われることのない希望を描く傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
182
オカルト?SF?仮想現実?ディストピア?ジャンル未確定。最初は展開しなくて退屈だったが1/4くらいから読ませてくる。町が消滅。実体はあるのに人がいなくなる。消滅された町は「汚染」していて立ち入り禁止で町名を見るだけで汚染。なにそれ。こんな世界は嫌だ。登場人物は多いけど最後に全て伏線回収で鮮やかだった。希望が持てる最後だったけど、ぶっつり終わった感があるのでもう3ページ補足してほしい笑。「「(略)いちいち何のためにとか思いながら自分のやることを決めるの?自分がそれをやりたいかどうかが大事なんじゃないの?」」2025/02/11
アイゼナハ@灯れ松明の火
92
もはや「あり得ること」として受け入れざるを得ない、町とともに人々が消滅する奇現象。そんな現象と隣り合わせでも、きっと人は生きていく。描かれるのは静謐な悲しみ。そして喪失の痛みに慄えながら、静かに静かに戦いを続ける人々の姿。多くの人が「穢れ」だとして目を背ける抗いがたい理不尽にさらされても、人から人へ、受け継がれていく想いは、徐々に力強さを増しながらやがて、明日への希望を載せたビートを刻みだす。初めは意味の分からなかったプロローグ、最後に読み返したら涙が出そうになりました。個人的には傑作です。間違いなく。2011/02/10
ちょこまーぶる
85
読むスピートが場面に寄って差が出てしまった一冊でした。前半は快適に、そして中弛み、で後半も快適に・・・と言う感じです。中弛みの原因は、管理局関連の表現が結構言葉が難しく、もう少し分かりやすく書いてくれないかな~と思いながら読んでました。内容としては、仮想社会の話だが街に住む人が全員消失して、その町の関連している物すべてが感染しているということで、ある種恐怖感を持ちながら読み進めましたが、失われた人々と関係のある人たちが自分自身を鼓舞して、人のためや町のために生きていく姿は、立ち向かう素晴らしさを感じた。2014/07/11
NADIA
76
うーん・・・何とも不思議な味わいのファンタジー。数十年に一度、町が消滅する。どうやら「町」の意志で。それだけでも十分なのだけど、消滅した町の記録は汚染の原因となるとか、同一性障害である一人の人間が二人の人間として「分離」して、それぞれがごく自然に生活したりとか(体はどうやって作るのだろう!?)、不思議が満載だ。この世界観はキライじゃないが、不思議が多すぎて浸れなかった(^^;; 再読は必至。2017/10/17
はらぺこ
75
自分の脳では『鼓笛隊の襲来』みたいな短編やったら一応の解釈は出来るのですが、長編になると理解するのが大変でした。特に前半は造語(?)や日常の差異が出て来るたびに止まってしまいました。『分離するのって神様とピッコロ大魔王みたいな感じかなぁ』とか『アシンメトリーの人はアシュラ男爵みたいな感じかなぁ』とか『月ヶ瀬って奈良かなぁ』とか。 これが映像作品なら知らん言葉や造語が出て来ても、流して最後まで観られるので楽しめた気がします。 ト書きのさん付けが不自然に感じる事が有ったんですが何か意味が有るんでしょうか?2012/11/05
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