内容説明
「私が死んだら、地下室にあるものすべてを燃やして」──。ホームレスだった岡崎芳彦を養ってくれた隆子は逝った。芳彦は、公園で見かけた女子高生・梨里花(りりか)に強く惹(ひ)かれ、半ば強引に家に連れ帰る。やがて二人は地下室へ。そこには上品な隆子からは想像もつかない世界が……。互いに「過去」を持つ、元高校教師と家出女子高生の、傷つきやすい性と愛を描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
匠
121
記憶と言葉を失いホームレスをしていた青年が、息子を亡くした女性に養われて、というところからしてすごくキャッチーだが、副題の「完全なる飼育」はちょっと違うんじゃないかと思った。その女性が入院し「私が死んだら、地下室にあるものすべてを燃やして」と青年に遺言を授けるのだが、地下室に何があるかより青年の記憶の甦りと再生が鍵。だけど真実は期待したほどじゃなく、おそらくこの話が昭和初期のものだったらなかなかセンセーショナルだったんではないだろうか。同じ内容でも設定する時代で印象が変わることに気づかされた作品だった。2014/10/16
ミカママ
52
これは~在米日本人から十把一絡げで買った本なのか、おまけでもらった本なのか。なんであたしがこんなの読んでるのよ~みたいな。簡単に言うと、監禁もの?(笑) 恋愛小説といえばいえないこともないんだけど。エロなんですが、不思議と著者のお写真(地味めな女性)が裏表紙にあったせいか、鬱々とした気分にならずに最後まであっけらかんと読むことができました。それにしてもこのサブタイトル「完全なる飼育」に脱帽!2014/08/21