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内容説明
鈴なりの勲章を左胸にかかげ、胸を張ったちょび髭の陸軍軍人の写真。その表情はむしろ柔和で、<カミソリ>の異名を取った男とは思えない雰囲気を漂わせている。東条英機――太平洋戦争開戦時の首相であり、戦後はA級戦犯として絞首刑になった彼の生涯を描いた本書では、そんな写真を装丁に使った。「冷酷・悪辣な侵略者」のように見られがちな東条だが、それは実際の人間像とは程遠いものだ。日本陸軍の一軍人として、何より天皇の忠実な臣下として自らを任じていた東条は、むしろ40代までは軍部でも地味な存在であった。それが54歳にして陸軍次官に就任するや、まるで何かに憑かれたように権力の中枢を占め、対外強硬策を支持し始める。やがて緊迫する国際情勢のなか、首相として国家の命運を担った彼は、日本を最悪の事態へと導くだけの役割を演じてしまう。戦時日本のリーダーという運命を背負った男の「光と闇」を、克明に描き出した力作小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちさと
29
政治問題としては、便宜的な一定の基準を定めて戦争の責任者を区別するより方法はない。だけど私たち国民は、騙された騙されたと彼らに責任を押し付けられるのでしょうか。 「勝てば官軍負ければ賊軍」という言葉が表すように、近代国家になって以来最悪のタイミングで首相になった為、トップ犯罪人として絞首台に送られた東條英機。皇道派と統制派の対立や開戦までの国内外の時代背景と事実を詳しく知ることで、東條英機の下した様々な決断、そして最後に残した遺書の想いを理解できます。2018/09/12
しらぞう
12
近代史をゼロから勉強し直したような感じ。統帥権の独立や軍部大臣現役武官制は構造的な欠陥だったとか、授業でのおぼろげな記憶の意味が今分かる。陸軍内部での抗争の過程に多くの人名が出てくるが、それらはほとんど記号であるという印象。彼らにも個性や信念はあったのであろうが、大きな流れに埋没している。職務を全うし出世競争を勝ち抜いたことで、皮肉にも日本を敗戦に向かわせる役が回ってきたのが(たまたま)東条英機という人間だったのであり、ちょっと歯車が変わっていたら、別の誰かであったのだろう。2018/12/30
MIKETOM
10
著者曰く、東条は、狙いを定め撃鉄を起こして後は引き金を引くだけという状態で銃を手渡されたようなものとのこと。つまりあの時点では誰が首相になっても開戦は避けられなかった。そして、誰が首相であっても結末にそれほどの違いはなかった。確かに東条は常に最上手を取っていたわけではない。最悪手を打ったこともあっただろう。しかし、既に歴史を知っている後世の人間が彼を居丈高に罵倒するのは違うと思う。東京裁判で彼は天皇を護った。おかげで今も皇統は続いている。一方的に極悪人呼ばわりされる人物ではない。ちなみに彼はB型だそうな。2021/06/15
ちょたん
5
★3.0 東条英機はA級戦犯で戦争していた時の総理大臣という風に習った記憶がありましたが、実際には敗戦時の総理でなかったことをこの本で知りました。平成生まれからか、戦争については習いますが、戦争は悪い悪いという教育だけだった気がします。たしかに戦争はダメですが、本でしっかり真実は知った上で自分の意見は持つべきだなと改めて思いました。東条さんは自分のイメージとは違い、部下思いで、まっすぐな実直な性格であり、戦争にも反対派でした。結局は周りの自分のことしか考えてないえらいさんに戦争は振り回されてたのかなぁ…。2018/03/30
みじんこ
3
太平洋戦争開戦時の首相であり、軍人でもあった東条英機の物語。その内面は、堅物ながら部下を一番に思いやり、天皇に忠誠を誓う能吏だった。一部の軍人の暴走による血なまぐさい事件、政党政治の崩壊や不可避となったアメリカとの開戦など、東条を中心に昭和の国の姿が描かれる。昭和天皇の証言にもあるが、東条は天皇を第一に考え、決して戦争犯罪の追及が天皇に向かないように配慮してきた。それが、彼の本当の姿だと分かる。彼と対立した石原莞爾や米内光政も度々登場させることにより、東条の価値観を浮き彫りにしていると思った。2013/06/19
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