文春文庫<br> 真珠夫人

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文春文庫
真珠夫人

  • 著者名:菊池寛
  • 価格 ¥763(本体¥694)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167410049
  • NDC分類:913.6

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内容説明

信一郎は乗合自動車で事故にあい、瀕死の青年から腕時計を託される。返すべきひとは、死に際に口走った「瑠璃子」という女性。帰京後探し当てた瑠璃子は真珠のように美しく、孔雀のように微笑み、自分のサロンに集う男たちを弄ぶ妖婦だった。かつて父の名誉を守るため、没落しかけた家を救うため、将来を誓った恋人・直也と別れて、新興成金の荘田勝平の妻となった瑠璃子には、運命に翻弄された過酷な過去があり──。TVドラマ化され、話題を呼んだ大河ロマン小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ykmmr (^_^)

116
この物語を、日本版(菊池版)『椿姫』と思い、読み始めたが、本当に似たり寄ったりと思える。『真珠夫人』瑠璃子はその高貴な姿と、時に男の意表を突き、彼らを糸で束ねて、真珠として自分を飾る訳だけど…。そして意地で貞操なども貫き、母娘という…何というか泥臭い三角関係、そして最後の悲劇…。『椿姫』と同じように異性に囲まれた女性のロマンが味わえる話である。やはり時代背景は大分古いし、ページ数も多いが、読みやすく読ませてくれちゃう。最後の川端の解説で、菊池寛という人物の『こだわり』。やっぱりな…と自分は思った。2022/02/28

青蓮

113
約600頁に及ぶ大作ですが、とても面白く読みました。類まれなる美貌と鋭い知性を武器に妖婦と化し、復讐のために男を翻弄する瑠璃子。これだけだと何だか酷い女性に思えますが、その内実はなかなか苦しく切ないものがあります。「男性本位の道徳に妾は一身を賭しても反抗してみたいと思っている」という瑠璃子の言葉は、本書が書かれた当時は新鮮な響きと大きな意味を持っていたように思えます。作中の文学議談も興味深い。ラストの瑠璃子と直也の邂逅は悲しくも美しく、最後まで操を立て通した彼女の強さと彼への愛の深さに心打たれました。2018/01/08

ばう

86
★★★真珠のように美しく賢く誇り高い瑠璃子は婚約者が怒らせた成金のもとへ父の借金のかたに嫁いでいかねばならなくなるが体を許さぬうちに未亡人となる。その後は自分のサロンに多くの男を侍らせ、さながら妖婦のように生きていくが彼女の本心は…。大正時代に新聞小説として連載されたらしいけれど今読んでも引き込まれるストーリーで、当時の読者は尚更のこと毎朝新聞を読むのが楽しみだったでしょうね。576ページと中々の分量だけれど一気読みでした。解説は川端康成。2023/01/31

Willie the Wildcat

86
清廉さと狡猾さに垣間見る生き様と、時勢を反映した物心両面での格差。加えて、当時の男尊女卑の風潮。信一郎の心情描写が、いみじくもこれらの世相を暗喩。対峙する瑠璃子。方法論の妥当性の問題ではなく、世の中の矛盾への精一杯の問いかけ!心の支えは、胸に秘めた”一枚の写真”であり、これが表題の真珠の輝きである。一方、踏まえて現代の世相を見渡すと、上述の”矛盾”が解消されたのかは、甚だ疑問。正直者が馬鹿を見ることなく、努力が報われる世の中でありたいものだと感じる。2018/06/03

優希

85
昼のメロドラマのような雰囲気があります。潔い交際をしていた瑠璃子が借金と名誉のために成金の勝平の妻になるものの、やがて未亡人となってしまいます。そこからの悪女っぷりがたまらなく官能的でした。サロンに集まる男たちを弄び、悠然と微笑む姿は妖女のようですらありました。死にまで至らせた男までいるとは驚かされます。しかし、エロティックな作品でありながら、誰も性行為はおろかキスすらしていないというのが驚きです。作中「処女」という言葉が多く出てくるのは少し食傷気味でした。インテリ女の奔放さは世間を騒がせたことでしょう。2015/04/27

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