内容説明
幼稚園の先生が見た「パレスチナ」
パレスチナの人々は、家を壊され、家族を殺されても、翌日には花を植え、冗談を飛ばし、大声で笑う。武力で脅されても、この土地から動かないこと。そして子どもたちの教育をつづけること。それが私の見たパレスチナの「インティファーダ」だった。
人々は破壊された家にそのまま住みつづけていた。
瓦礫となった玄関の前でお茶をのむ女の子。
2002年3月14日トゥルカレム難民キャンプ(森沢典子・撮影)
封印された事件と人々の悲しみが、彼女の平易な言葉によって広く伝わり始めた。それは私たちジャーナリストにもできなかったことだった。
正直なところ、彼女がこれだけのことを成し遂げるとは思っていなかった。
広河隆一(フォトジャーナリスト)
I
聖地エルサレム
パレスチナへ――そこに向かった理由
東エルサレム――イスラエルの中のパレスチナ人
II
ヨルダン川西岸へ
ナブルス――無関心という攻撃
ジェニン――生きることへの妨害
トゥルカレム――機能を奪われた街
III
イスラエルとパレスチナ
西エルサレム――それぞれの闇
IV
閉塞の地、ガザ
ガザ――封印された悲しみ
V
帰国
あとがき
目次より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ラグエル
7
「難民キャンプが数十台の戦車に囲まれて人々が殺されていました。しかし町の人々は瓦礫の中から教科書を拾って学校に行き、商店を開いていました。花壇に花を植えている人は『こういうことをしなくなったら終わりなんだよ、日常生活を続けることが占領との戦いなんだ』」「封鎖、占領は、静かな殺人です」「世界というものは弱い人々の言葉を聞かないものです」……僕は、世界を知らなすぎる。背かを感じたことが、なさ過ぎる。どうしたものか。2011/07/07
ぎすけ
4
パレスチナの今を知るためには最適の一冊かも。(140913追記)今、中東がものすごく不安定な状態になっているので、ぜひ、この本を読んでほしい。ふつうに生活している人たちが、イスラエルの空爆などでどれだけひどい目にあっているか。DAYS JAPANという雑誌の14年9月号(広河隆一氏の特集号)と併せて読んでほしいなと思う。2009/02/11
クロネコ団
3
何の力にもなれないけど購入して感想をこの読書メーターで書けば少しは意味もあるんかね。とは思う。2014/09/06
ばーさん
2
2002年当時、パレスチナで何が起きていたか。どのような人々が日々をどのように暮らしていたか。私は知らなかった。ちゃんと知ろうとしなかった。軽いノリのタイトルからはかけ離れた重く辛い現実に、胸を締め付けられる思いで読了。イスラエルと中東諸国の情勢が転換期を迎える今、パレスチナはどうなっているのだろう?2020/09/16
sayuri.i
2
一気に読みました。あとがきで大江健三郎さんの『世界の苦悩と私はつながっていたい』という言葉が引用されてた。共感。2013/07/15