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内容説明
80年代になってがん研究は様変わりした。原因別のメカニズムがあると考えられていたがんは、今やがん遺伝子という共通のメカニズムで説明できるようになった。生命にとって大事な遺伝子が次々に変異を重ね、行き着いた一つの悲しい結末、それががんなのだ。がん遺伝子と抑制遺伝子の発見をめぐって熾烈な競争を繰り広げる研究者たちのドラマと、徐々に明らかになるがんの本態を、自らのがん体験をふまえてヴィヴィッドに描く。
目次
第1章 がん遺伝子発見への長い道のり
第2章 がん遺伝子の発見
第3章 プロトがん遺伝子の本当の姿
第4章 がん遺伝子の活性化
第5章 がん抑制遺伝子の発見
第6章 がん抑制遺伝子の働き、そして遺伝
第7章 不安定な遺伝子
第8章 ヒト白血病ウイルスの発見
第9章 ヒトがんウイルスの遺伝子
第10章 役に立つがんの遺伝子研究
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
S
2
がんの遺伝的メカニズムについて。S. ムカジーの「がん」読了後に読んだが、その後半部の再確認にも良かったし、こちらの方が詳しい/わかりやすい部分、日本独自の部分もある。ちょっと古いけど、読みやすく、自分にはちょうどよい感じ。2017/12/29
ひるね
2
生物学の知識が多少あれば、タイトルから受ける威圧感とは裏腹に読みやすい。がん遺伝子が発見されるまでの生物学史を順に紹介しただけの内容でありながら、各科学者のちょっとしたエピソードが載っていたり、比喩に工夫がみられたりして楽しめる。前書きは少しとっつきにくく感じたが面白くなるのはそのあと。2014/05/20
茶幸才斎
2
プロローグで大腸ポリープが見つかって摘出され、エピローグで患者、黒○登○夫氏の早期大腸がんの症例として事例報告される。その内容が読者に理解できるよう、本文では遺伝学的、分子生物学的な研究によりがんの作用機序を解明していく研修者らの熱い戦いの歴史としてこれを紹介している。洒落た構成である。発がんのターゲットは様々で幾つもあり、DNA配列を解析して変異を突き止めたところで、がんの本質は何も分からない。生体内で起こる分子間相互作用のダイナミズムを、根こそぎ正確に捕捉できるような研究技術が開発されればいいのだが。2013/08/20
DK
1
古い本だけど良い本です2019/07/25
tamary
1
高校時代読んだときはさっぱりで、何を言っているかわからなかったが、今回はすんなり読むことができた。専門用語も少なく、読みやすい。がん遺伝子について、基本を固めることができる良書。2012/09/14