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内容説明
徳川四天王の一人に数えられる榊原康政の生涯を描く長編歴史小説。永禄3年(1560)、岡崎の大樹寺で文武の修行に励んでいた若き康政に転機が訪れる。桶狭間で今川義元が横死、今川家の一部将として出陣していた岡崎城の若殿・家康が、大樹寺に逃げ戻ってきた。無念のあまり自害しようとする家康、それを止めに入った康政、二人はこの時、大樹寺の登誉上人から「厭離穢土 欣求浄土」の教えを説かれ、その教えのもとに主従の固い契りを結ぶのである。以後、康政は乱世終息に殉じることを信条とし、時に憤り、時に惑いながらも、家康の天下人への道を支えていく。一方、同じく若き日、家康の配下にあった本多弥八郎(正信)は、一時、一向宗勢力に走り、後年再び家康に仕える。本編では、同じ仏の教えにならいながら、弥八郎の機を見て敏なる生き方を対照的にとらえ、康政の爽やかな信念を貫く生き方を浮き彫りにしていく。乱世の人間模様を活写した力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
50
オーソドックス。”どうする家康”程ぶっ飛んでいない。 文武両道。優しい眼をしていた、とある。 対して、仲の良い本多忠勝はギョロメ ああ、やっぱり2023/10/05
どぶねずみ
20
徳川四天王とも呼ばれているが、その割りには昨年度の大河ドラマではあまり活躍するシーンが描かれなかったように感じた。本書を読んで感じたことは、4人ともが肝胆相照の仲だったけれど、榊原康政はその中でも自分の感情を強く表に出すタイプではないから、功績が目立たなかったように思う。歴史好きにとっては、秀忠が関ヶ原の戦いに遅れたときに家康が廃嫡すると叱ったことを自分の責任だと言って宥めたので、徳川将軍が15代続いたのは榊原康政の功績の一つと言えるのではないか。もっとこの武将のことを知りたいが、資料が少なくて残念。2024/05/16
maito/まいと
8
家康配下でも特にその名を唱われた徳川四天王の1人、榊原康政。幼少より家康の小姓として仕え、実績と経験を積んで武将として独り立ちしていく、まさに家康の生え抜きたる日々が描かれているのが特徴。武に優れるだけではなく、知性と穏やかさを持ち合わせた人格者としても、魅力あふれる成長を遂げていき、味方だけではなく敵(秀吉)からも賞賛される漢。最期の最期まで徳川の矛として盾として、近くにあろうとした日々は、一途な生き様がこんなにもすばらしいあり方であることを教えてくれる。2009/02/03
ゆうへい
5
徳川家康を支えた徳川四天王の一人、榊原康政が忠実に描かれています。幼少期に寺で家康と共に学んだ『厭離穢土 欣求浄土』の精神を強く胸に抱いていました。康政の三河武士の持っていた素朴さや心意気がとても印象に残りました。思慮深く気骨もある康政の生き方が上手く表現されていて、合戦シーンも臨場感があり、人生訓も多く時代小説として読みやすかったです。己の描く理想の世を実現するため、家康を支えて、そして自らの引き際を感じて第一線から退いたのが男らしく潔かったです。自分の信念を貫き人間味も感じられ最も魅力溢れていました。2020/06/17
びノ字
4
榊原康政に関する本があまり見当たらないので、じっくり読んだ。血気盛んな若武者時代から、武功派の時代の終わりを感じながらも関ヶ原合戦を経て世を去るまで、家康を支えて駆け抜けた彼の人生がわかる本だった。物語としても面白く読めたし康政のキャラクターが憎めない感じでよかった!2012/11/13