内容説明
まるで宇宙船のようにも見える、不思議な形をした星の投影機。44年間の使命を終え閉館した東京・渋谷の五島プラネタリウムに、不思議な少年がやって来た。「おじさん、プラネタリウムはどんな時代の星でもつくれるんでしょう? 昔に吸い込まれそうになったことはない?」──1つの“思い”が心に刻まれ、昭和20年前後の時代にタイムスリップする感動の物語!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けい
72
プラネタリウムの投影機を題材とした作品。時を越えて繋がって行く、人々の強い思いが物語を作っていきます。死ぬまでに「ムーンボウ」ってやつを一度でいいから見てみたいな。スマホやパソコンで下ばっかり見ずに、上を向いて夜空を見上げたくなる作品でした。2016/01/16
へくとぱすかる
71
ここ(読メ)に来る前に読んだ本を再読。時間を超えて、人は果たして誰に会いたいと思うのだろう。時間を超えて救い出したいものはあるだろうか。1957年から本書発行の2001年まで東京にあった五島プラネタリウムを舞台に、「人の思い」と、つかの間のタイムトラベル。どんな時代の星空も人工的に再現できる機械が、本当に時間を超える機械を生むきっかけになるかもしれない。と、そんな気がする。さて、作中に出てきた、織田作之助の「わが町」という小説は、今どうやったら読めるだろう。2020/05/19
hirune
45
プラネタリウムの投影機によるタイムスリップもの。閉館を迎えた渋谷の五島プラネタリウムから戦災で焼失する前の戦時中の東日天文館へ。そして現在に戻って未来から来た人、そして過去から来た人の思いと再会する。とっても真面目なSFですね。時を超えるのは精神のみでその先で身体を借りた人の中に去った後も思いが残る。少し曖昧で分かりづらいところもありましたけど面白い発想の物語でした。2016/07/21
紫 綺
42
まるで宇宙船のような不思議な形をしたプラネタリウムの主役、星の投影機。実は望む星空を見ることの出来るタイムマシンだった。一つの思いが心に刻まれ、過去にタイムスリップする感動のファンタジー。2021/12/16
ポルトン
36
2001年に閉館した東京渋谷の天文博物館五島プラネタリウムのカール・ツァイスIV型投影機が主役のファンタジーです。 物語は閉館直前、最後の上映直後から始まります!実際に存在した人物、歴史、場所を舞台に展開する虚構の物語!投影機がタイムマシンになる不思議なお話です! 織田作の名で親しまれた織田作之助が実名で登場しますw プラネタリウム好きの人にはオススメ♪2017/09/06