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内容説明
イスラム過激派が話題になるのは戦争やテロの際に限られているため、彼らは無謀な狂信者集団だと思われている。しかし現実には、彼らは独自の革命思想のもとに組織化され、各々の論理と目的のため冷静に手段を選択している。スポンサーとなっている国家さえある。敬虔な若者たちが、暴力的な原理主義運動に身を投じるのはなぜか。その誕生から世界を震撼させる現在まで、イスラム原理主義の思想と歴史を解明する。
目次
第1章 ルクソール事件
第2章 過激原理主義組織の思想
第3章 イスラム集団
第4章 ビンラーディンと原理主義「国際派」
第5章 武装闘争
第6章 ムバラク政権との闘い
第7章 武闘停止から合法政党化へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
34
《購入本》97年のルクソール事件の前後から9.11までの状況を網羅的に解説。やはり日本人にはイスラム教世界に対する理解が圧倒的に不足している。イデオロギーの違いとひとくくりで片付けてしまいがちだが、やはりイスラム教そのものへの理解なくしてはイスラム問題の真の姿は見えないのだろう。2018/01/11
Kei
12
イスラム過激派を理解するのに非常に役に立つ一冊。ちょっと古くて、本の中での最新が2001年のテロになっているので、また新しい本も読みたいと思う。2016/07/13
isao_key
9
本書が出版されたのはアメリカ同時多発テロが起こった直後である。そのため同時多発テロについての内容は本文にはなく、あとがきで触れられているだけである。しかし本書にはエジプトのイスラム過激原理主義組織「イスラム集団」と「ジハード団」についての特に詳しい記述がなされている。ここまでイスラム過激派組織や人物について踏み込んで書かれた著作は少ないと思う。元ジハード団の首領で現在アル・カイーダの作戦責任者と目されるアイマン・ザワヒリとビンラーディンは、共に富裕家庭の出身であったが、双方とも生家との関係を断絶している。2013/08/08
がくちゃびん
5
イスラム国が台頭してきてるためイスラム原理主義関連の本をまとめて購入した。その中でも本書は1996年にエジプトのルクソールで発生した外国人観光客虐殺事件を題材に、なぜこれほど残虐なテロ組織が結成されてしまったのかを、エジプトの風土や環境、宗教や歴史を交えながら解説してる。ひとつひとつの解説は非常に詳細なのだが、すべてを理解することは困難だった。良書ではあるが、人を選ぶ本だった。2015/02/17
羊山羊
5
この本で、特に注意すべきなのは2点ある。1点は「神の主権」論に言及したページ。2点目は、過激派原理主義が、そもそもイスラム界でも相当異端視されていた部分があるということを書ききった点だ。そして、「神の主権」がイスラム国においても有効な思想ならば、イスラム国の現在の行動原理は実に中世的だ。現在のイスラム国が、時代の巻き戻し役として機能していること、そしてイスラム国が仮に北アフリカで膾炙していった場合、今以上の血が流される事を暗に示唆した1冊と思う。今だからこそ、これからの展開に備えて読む価値のある本。2015/02/07