内容説明
「ああっ、何をなさいますっ、これ以上、私に恥をかかせるのはおやめ下さい」――親の仇である憎き男と、使用人であった下郎に、お志津は全裸に剥がされ後手に緊縛された。割り裂かれた両足首を棒杭に繋がれ、2人の男に上半身と下半身とを執拗に愛撫される。屈辱感と汚辱感、しかしそれと並行して突き上げて来るこの快美感は一体……「卑怯な、自由を奪った女を辱めるなど――」血走った声はやがて甘美な喘ぎ声に……武士の妻が2人がかりで嬲られる『卑怯者』など、緊縛の文豪による全5篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
RUN DOG
3
異常に興奮しました。2014/06/07
サイコ
1
団鬼六は汗と肉の匂いをなんと淡々と書くことか。五編の短編は「私」の自伝の体をとっている。老境に入り、倒錯した生活を半ば呆れたように綴る。枯淡とはかの文章のことであろう。2012/09/21
ネオナオキ
1
ポスト鬼六が出現しないものかしら2010/06/10
毒モナカジャンボ
0
表題作、『花と蛇』の静子夫人誕生秘話が明かされていてなるほどとなった。あれだけ鬱蒼と茂る性欲の森についてねばねば書いてきた氏が、自分の性体験の場面になると頭が冴え過ぎるという、現実と想像の倒錯関係を感じられて良い。2020/10/15
ニコラス@ケンジ
0
なんや鬼六先生の創作というよりエッセイか・・がっかりと思いきやきちんとエロいし面白い。将棋に人生を救われた一方で将棋で人生のどん底に突き落とされたりするエピソードが身に染みる。「卑怯者」も背景を知った上で読むと以上に興奮する(バカ)。最後の切腹話はガチすぎてこわい。これもある種のSM?か笑2018/06/03