内容説明
旅に出て、人と出会い、酒肴を愉しみ、言葉を選び、小説を書き、歳を重ねる……。自らの流儀を守り、穏やかで豊かな生活から産まれる傑作の数々。その精密な取材と静謐な筆致は、読む者を虜にし深い感動を呼び起こす。作家冥利に尽きる体験、日常の小さな発見、ユーモアに富んだ日々の暮し、そしてあの小説の執筆秘話を綴る。作家・吉村昭の文章を紡ぐさまをかいま見る芳醇な随筆集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
62
吉村昭氏といえば、歴史文学。綿密な取材と冷徹な視線で書かれた作品はどれも有名で読み応えがある。この本は、そんな氏が普段感じたことや、身近なことを短いエッセイで構成されている。なかでも氏は、とてもお酒が強かったそうだ。お酒の随筆を読むといかにお酒が好きだったかということがよくわかる。どれも肩のこらない読みやすいエッセイばかりだ。2015/09/12
ふじさん
59
久しぶりの再読。自らの流儀を守り、穏やかで豊かな生活から生まれた数々の傑作に関わる記述が面白い。作家冥利に尽きる体験、日常の小さな発見、ユーモアに溢れた作家の日常の暮らしが生き生きと描かれている。何冊かある彼のエッセの中では一番読み応えのある本だ。 2020/09/11
Shoji
45
タイトル通りの本です。著者ご自身が普段の生活で感じたこと、見たこと、聞いたことなどを綴ったエッセイです。昭和一桁の人だけあって、気骨のある人だと感じました。阿川弘之、池波正太郎、そして吉村昭の三氏は、実は私にとって憧憬の人でございます。若い頃はあんな人にはなりたくないと思っていたのに、歳をとるとあんな人になりたいと思わせる人だ。このエッセイを読んで改めてそう思いました。2021/05/27
mondo
37
「わたしの流儀」には、6章117篇のエッセイが綴られていて、ちょっとした隙間の時間に読むことができる。人間「吉村昭」を知るにはとっておきの一冊だ。特に、私の趣味で「酒肴を愉しむ」や「旅に出る」の章は楽しめた。「酒肴を愉しむ」では、「夜明けの雷鳴」の主人公の高松凌雲が下戸だった話とか、「旅に出る」では「天狗勢」や「憩いの旅」の話などが旅の思い出に重なり、懐かしく感じられた。このくらいのボリュームなら自分でも日記を付けるように書けないかなと思ったりもするが、実行に移せた試しがない。2022/08/25
Shoko
30
小説の舞台になる地を訪れ、資料集めをし、ゆかりの地にも足を向ける。 その旅を普通の作家なら編集者とともに行くところ、すべて一人で旅していたと。作家 吉村昭氏の人柄、気っ風をよく表しているエピソードだと思う。氏の本は「破獄」など、まだ3冊しか読んでいないけれど、すっかりファンになり、このエッセイも見かけて、思わず手に取りました。読メでも多く目にする「羆嵐」や、「高熱隧道」執筆についてもあり、読みたい思いを新たにしました。「羆嵐」の話の中に、星野道夫氏についてと思われる記述も。その感慨にも深く首肯しました。2018/05/29
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