内容説明
旗本・御家人への金融を請け負う札差。吉宗が将軍になって以来、この札差ほど江戸で発展した商売はない。だが巷には札差の金庫を狙う悪党どもが……。武士の横暴や経済犯罪に敢然と立ち向かう札差辰巳屋平十郎の活躍。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
酔拳2
24
札差というと、よくある設定は成金の嫌なやつ、もくしくは悪役。なんだけど、本書では主役、さらにやっとうもできるいい男です。札差は発祥は武士の使いっ走りで商売とも言えないような状況だったが吉宗公が株仲間を認めたことから、正規の職業になったと、毎話書いてあります。その後武士が困窮して札差に借金する世の中になる。故に札差は悪党として描かれると思うんだが、ほんとに悪いのは御家人、旗本を困窮に追い込んだ無能なばくぶだったんだなとよくわかりました。2024/08/10
山内正
2
若くして家を出て剣術道場に通ってた平十郎は家を継ぐ事に 辰巳屋平十郎として札差の主として札旦那の 相手となるが代理の蔵宿師が今日も ニ年先の融資を粘る 幾日後札差屋を変えたから後の事は 新しい札差とケリを付けろと言う 札差し替えである 不法を承知のやり方に相手先の裏事情を探り 不法の証を突き付けて難を逃れる 乗り越えたら余計に辰巳屋の悪い噂が立つその日から無理難題の客が 何十人と押しかけるが これを毅然と押し返す事を徹底する 融資の利息も決められた中 平十郎は理不尽な難癖に立ち向かう2018/05/02
スプリント
1
時代小説では欲の権化の役割を担わされている札差が主人公の物語です。シチュエーションや各章の導入部などは面白いのですがオチがあっさりしすぎているのと、力押しで解決するパターンにも関わらず剣撃の表現が淡白のためどの章もそれほど印象に残らなかったのが残念です。2014/05/29