内容説明
……人は、いちばん好きな人とは決して結ばれない。私があの人との三年間で学んだ、ただひとつの真実だった。そして私は、あの人への愛しさを抱えたままこの部屋を出て行く。(「一月 積木の部屋」より) あきらめ、あこがれ、決断、後悔、救い、絶望……。季節の彩りの中で、“別れ”はさまざまな表情をみせる。みずみずしい筆致でつづられる12篇の恋のかたち。梅田みか、初の小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
siro
24
別れの話がひと月に一話。どの月の話も綺麗な文章で綴られる。切なかったり、次に進む力強さがあったり。今の季節にぴったりな本だった。2013/03/30
SOHSA
17
半透明の景色が遠く広がっているような不思議な小説だった。12個の別れは、時として新たなスタートではあるが、どれもその半分にはアンニュイな雰囲気がまとわりついていた。人と人との出会いにどれひとつとして同じものがないように、別れにも同じものはないにしても、作者の描いた鈍く白く半透明な景色は、そうした人の心の不安定さと不透明さを、読者にそっと見せてくれているようだ。2013/05/06
亜希
7
再読。かなり昔に裏のあらすじを読んで気になり手にとったけれど、再読の今回も「一月」が一番好きだなぁと感じました。あとは「九月」。すごく切なくてやりきれない。やっぱり私は秋から冬にかけての、歩いているだけで切なくなるような季節が好きです。2012/09/11
fukui42
5
「中途半端が好きだな」。本を買い込んでも全て少しずつ読みかじって投げ出してしまう私に、いつもあの人は言った。そして最後の夜にはこうつけ加えた。「俺との恋愛もそうだった」…。図書館の書庫にあった作品。20年前。皇太子様ご成婚の年。だけどキラキラした言葉は、色褪せてなかったです。2013/03/02
ACO
0
「君がいた夏」は、夏の思い出と大人になりかけの少年の甘酸っぱい初恋が合わさって、若いって素敵と思った。まぁ、初恋は叶わないんだけどね。2014/01/26