内容説明
〈戦時の記録〉全3冊は、ミュンヘン協定(1938)の直後にはじまり、第二次大戦勃発後のサン=テグジュペリの最後の日々をたどる。その第1巻である本書は、33-2飛行大隊の一員として任務に赴いたのち、パリ占拠とヴィシー政府の樹立、独仏休戦を経て、動員解除を受けてアメリカへ渡り、かの地で合衆国参戦を迎えるまでを収める。ニューヨークのフランス人社会のなかで、ドゴール派とヴィシー派の抗争に巻き込まれながら、サン=テグジュペリはつねに、政治や党派を超えて「尖塔をそびえ立たせた大聖堂の一つ一つの石材となるべき」人間と、その人間の肉体と精神をはぐくむ母胎としての文明の運命に思いを寄せた。のこされた覚え書や手紙、また、レオン・ヴェルトやアン・モロウ・リンドバーグをはじめ、彼をめぐる人々による証言が、当時のサン=テグジュペリの面影を生彩豊かに伝える。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Jampoo
15
第二次対戦勃発からフランス占領、そして米国の参戦までの期間のサンテグジュペリの覚え書きや寄稿、友人との手紙のやりとりなど、多様な文筆集。 時系列順に解説付きでまとめられていて、文章の良さもあって雑多な割に意外と読みやすい。 ナチスから世界のデモクラシーを守るために、米国の参戦を呼びかけているのが印象的。 飛行士の仲間達が死んでいくのを見て、自分もまた使命の為に死ななければと感じているような焦燥を感じた。2025/12/18
たか
2
第二次大戦の最中におかれたサン・テグジュペリの姿が、手紙や周囲の友人の記録などから伺える内容。時系列ではあるものの、語り手も様式も様々なので少々読み進めるのは難儀だった。高貴さをもちつつも人間らしさに溢れていて魅力的な人物である。対立する同胞に両側から批判され苦悩しつつも、自身の立場を崩さず力強く美しい文章を産み出し続ける姿はすばらしい。自由という語に対する考察が実に深くてよかった。また、『城砦』が未完のまま死後世に出ることを予感している文章があったのはひとつ発見だった。2026/06/05
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