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内容説明
組織のあるところには必ず「無責任の構造」がひそんでいる。証券会社の損失補填、自動車会社のリコール隠し、警察の被害届改ざん……。本書は、無責任をひきおこす集団と人格のメカニズムを社会心理学的に分析している。まず、自らも調査委員をつとめたJCO臨界事故を意思決定の視点から新たに検証。何年にもわたって違反が積み重ねられていた実態を追う。さらに、職場における無責任の構造を科学的に解説。「同調」「服従」「社会的手抜き」の心理メカニズム、「選択ミスが生じる確率のワナ」など、実験をふまえた学説を紹介。また、特に日本の職場に顕著な風土として「権威主義」「属人主義」の問題点を指摘。管理する側があたり前と考えていたことが、実は組織を腐敗させる元凶となっていたことに気付かされる。その上で、無責任回避の具体策を提案し、組織を真にリードする「個」のあり方を問う。志たかきビジネスキャリアに必読の内容である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
林 一歩
24
コンプライアンスが叫ばれ始めたくらいに出版されたものかしら。組織に属する立場から読む場合と私的な感覚で読む場合とで、微妙に印象が変わるのが面白い。2013/08/10
白義
14
組織の中に盲目的に右にならえと組織内の空気に合わせる風土が発生すると、必然的にそれは無責任の温床となり不祥事や失敗を生んでいく。その無責任の構造の発生するメカニズムと対策を社会心理学の観点から解説していて実用性も高い。続編である姉妹編の「権威主義の正体」とかぶる部分も多いが、著者自身が関わったJCO臨界事故という実例と、確率のバイアス、フレーミング効果などにも触れられていて、興味深いのは続編だが本書のほうが応用が効く。極端に低い確率は心理的に若干真ん中寄りに認知される、というのは体感的にも納得してしまう点2017/07/08
Humbaba
10
どのような組織であっても,ある程度の無責任さを有していることがほとんどである.不祥事が起きたときに積極的に隠蔽しようとはしなくても,周囲との同調圧力に屈するというのは頻繁に起こってしまっている.2011/12/22
hajihaji
6
「盲目的な同調や服従が心理的な規範となり、良心的に問題を感じる人たちの声を圧殺し、声を上げる人たちを排除していく構造」「価値観・態度の内面化」 私自身すでに無責任な人罪になりかかっているかもしれない。自戒しなければ。2019/12/20
Tsutomu Yamamura
4
著者は社会心理学者。勉強になり印象深い本です。➡️物理的に孤立無援であっても、心理的に味方が存在していれば、孤立無援の状態に耐えることができる。複雑な情報を複雑なまま処理することが苦手なため、教条や権威など単純な概念によって自分の認知を割り切る傾向が強く出るので、権威主義体になりやすい 全てを報告せよと指示するのは、人間の注意の限界がわからないと同時に、自分の能力についての万能感を持っているから。ホワイトカラーにとって、広範囲の読書は、球技選手にとっての毎日の走り込みのようなもの。2018/09/14