内容説明
あのときああすればよかった、こうすればよかった――人間関係でも仕事でも、私たちはさまざまな妄情に悩まされ、過去に制約されて暮らしている。いまほど、忘れる、捨てる、簡素化する、といった東洋の知恵が必要なときはない。猛烈に忘れ去り、切り捨てることで、新しい生命感が満ち、独創性が蘇る。禅の奥義を極めた著者による、達観の書。
目次
1 現代人は記憶過剰である
2 なぜ、それが忘れられないか(執着する人間の悲劇 煩悩は殺すべきか 過去の重圧、未来の不安 なぜ、あやまちを恐れるか ほか)
3 肉体が、それを忘れさせる(呼吸が精神を左右する 坐るとは、最高に活動することだ)
4 忘れたあとの人間(生きているとは、どういうことか 人生を遊ぶ精神 拈華微笑の世界へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
夜間飛行
53
仏の道を懇切丁寧に説く本書からは、無明に生きる人間への温かい思いが伝わってくる。例えば座禅の「座」さえあればよく、理屈っぽい「禅」はいらない、という考え方などとても親しみやすい。もう一つの魅力は例話の面白さだ。白髪の童子の話、罪人に屍を背負わせる話、入寂のさい地獄図を掛けてしまった上人の話、太鼓を叩き続けて悟る話、牛の鼻息から呼吸法を学ぶ話など…不謹慎を承知でいえば百物語と同じ事で、いわば六道巡りツアーの旅の友である。煩悩の山路を、清々しい芳香のようなこれらのお話に包まれながら歩いて行くのも、また愉しい。2016/08/15




