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内容説明
お葬式とは、本来、宗教ではなく習俗である。すなわち、成人式や結婚式と同じ儀式にすぎない。しかし、日本人の多くが、そこに格別な宗教的意義があると誤解している。戒名、お焼香、北枕、火葬、年忌法要、お墓の問題……。本書では、葬儀にまつわる習俗と宗教を腑分けし、神道、仏教、儒教との関わりを解説している。まず、釈迦やキリストが葬儀に格別な意義をもたせてはならないと戒めた言葉を紹介し、宗教と習俗の違いを明確にする。ではなぜ、「葬式仏教」と呼ばれるようになったのか。それは、江戸時代以降、キリシタン弾圧を目的とした檀家制度により、葬式は僧侶がとり行うようになったからである。その他、お通夜、末期の水、お骨上げなどの意味についても易しく解説。著者は本来の仏教思想に基づいた、弔いの心、偲ぶ心があれば、しきたりにこだわる必要はない、と説く。死を迎える側も、弔う側も今から読んで考えたい「本当のお葬式の話」。
目次
第1章 なぜ日本人は「お葬式」にこだわるのか<br/>第2章 仏教における葬式の起源<br/>第3章 お葬式のかたちと作法<br/>第4章 宗教の世俗化とお葬式<br/>第5章 供養の本質、お墓の問題<br/>第6章 仏教にみる理想の死に方<br/>第7章 お葬式はどうあるべきか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinupon
77
日本人は宗教があっても信仰がないと言われます。そんな中での葬式のあり方を考えさせられます。2016/05/03
Kumisuke92
6
仏教家でも、葬式仏教への疑問を感じる人と感じない人がいるようだが、ひろちさやは前者。日本人の葬儀関連の習俗(戒名、骨を残す火葬、清め塩、お墓まいり、先祖信仰)の歴史を通じ、それらが仏教とは関係ないこと・むしろ執着を生み仏教の精神に反することを示し、心の中で浄土にいる先祖を思うことが一番大切だと説く。死者への恐れ意識が日本人の根本にあって、その習俗をもとに、江戸時代の檀家制度で調子に乗った仏教寺院が作り出した制度が、葬式仏教になった。事情を知ることで、必要なことと必要でないことの判断ができる人間でありたい。2015/12/31
Arowana
5
つぎはぎだらけの雑種文化を持つ日本ならではの「葬式仏教」雑学を丁寧に解説してくれている本です。日本人って、本当に変な生き物ですね(・o・)2014/06/15
Noelle
2
つい最近、身内の葬式を何十年ぶりに経験しました。宗教のこと、葬儀のこと、故人の遺志やその他諸々のことを短期間に思慮判断する経験を経た直後に本書を読んで、家の宗教であった仏教のことや、残ったものがどうするのがいいかということなど、とてもよく納得できました。近い将来、まだ何回かお葬式の主催者の方に立つことになつだろうし、自分が送られる側になるやもしれません。その時に悔いなく、送り送られるようでありたいと、痛切に思います。まずは、今日一日を悔いなく生きること、死後を思い煩うことなく過ごせるようでいたいものです。2015/08/15
かんぞ
1
読んでる最中に身内に不幸があった。ショック・・・。2017/09/25