内容説明
「君は誰?」「私は、妹よ」月美は記憶喪失になった青一と山奥の小さな家で新しい生活を始める。永遠の愛を手に入れるため、二人の関係を思い通りに作り変えようとする月美だったが、一人の女の出現でその計画が狂い出した--。無垢にして残酷なこの「罪」を誰が裁くことができるのか?この世に絶対的な愛は存在するのか?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
りこ
4
私も「彼と兄妹だったら、ずっと一緒にいられるのに」「生まれ変わったら兄妹になりたい」って思ったことあります。でも、それを現世でやってしまうとは!初読みの作家さんでしたが、好みのお話でした。(4+)2017/10/28
_こうちゃん
4
狗飼恭子はとても とても 優しい文章を描く。 そして、とても絵画的。厳しい言い方をすると、ワンパターン的な香りもするが、とても切なくて、狂おしい。繊細な恋愛を描かせたら、ピカイチの作家だと思う。今回、彼女の「恋の罪」を読んだ。まさに表題の通りの作品。平凡に言ってしまうと、狂気の愛。犯罪である。限りない愛とそれに続いてしまう、無限の独占欲。この作品は、文庫本一冊分の長編でありながら、登場人物はたったの三人。「私」と「彼」と、そして「彼女」。「私」の視点で、心の揺れが巧みに語られる。まさに狗飼恭子ワールドだ。2014/09/14
かっこ
3
ここまで必死に人を愛せるなんて彼女はなんてきれいなんだろう。「心の死が、肉体の死よりも軽いなんてどうして言えるの」の言葉が心に残った。終始彼女の目線で書かれてるのは読む人を選ぶだろうけど、このお話はそれ以外の視点は必要ないと思う。2013/09/16
こころ
3
いろんな設定があり得ないし、抽象的でほわんとしてるんだけど、主人公の気持ちには共感できるので、油断してると泣きそうになってしまう。たとえ好きなひとと付き合えたとしてもずっと一緒にいられたとしても不安は消えない。自分のことも相手のことも信じたいのに信じきれない。恋愛って苦しい。2011/10/27
ぽん
2
苦しい恋は嫌だ。罪を重ねるような恋なら私は恋なんてしない。自分を見失ってしまうほどの、深い深い愛。そんな出会いが羨ましい。でも、悲しい恋はほんとうに嫌だ。2017/05/30