新潮文庫<br> 逃亡(上)

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新潮文庫
逃亡(上)

  • 著者名:帚木蓬生【著】
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 新潮社(2014/11発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101288116

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内容説明

1945年8月15日、日本敗戦。国内外の日本人全ての運命が大きく変わろうとしていた――。香港で諜報活動に従事していた憲兵隊の守田軍曹は、戦後次第に反日感情を増す香港に身の危険を感じ、離隊を決意する。本名も身分も隠し、憲兵狩りに怯えつつ、命からがらの帰国。しかし彼を待っていたのは「戦犯」の烙印だった……。「国家と個人」を問う日本人必読の2000枚。柴田錬三郎賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ehirano1

106
#上巻だけで600ページ超えの超大作。#大陸の料理紹介はまるで開口健ばりで楽しい(ん?そんな本だっけか、これは?)#蛇チャーハンに卒倒しそうになる(当方、蛇は無理!)#「戦争でなかったらあなたと一緒になりたかった」に思わず涙する。#「何かを得るには何かを捨てなければならない」を熊谷曹長に見る。#トメの言葉にはホントに考えさせられる。#ジョン・ランボーの境遇は引揚者の構図と全く同じ。#帰国後の舞台は正に当方の通勤路でビックリ!#上巻終盤でようやくエンジンが掛かり、下巻が楽しみになる。2019/11/02

アッシュ姉

80
1945年8月15日、日本敗戦を境に日本人の立場が大きく変わっていく。香港で諜報活動に従事していた憲兵隊の守田は、現地国民を脅かす存在から一変、反日感情の標的となった事態に身の危険を感じて離隊を決意する。本名も身分も隠し、憲兵狩りに怯えながら、命からがらの帰国。しかし、帰国してもなお戦犯として追われる懸念が残っていた…。戦争の加害者としての日本の側面にも焦点をあてており、鬼畜としか思えない残虐な振る舞いには暗澹たる気持ちになる。この物語がどのような結末を迎えるのか。目を背けることなく読み通したい。2016/03/22

のぶ

70
まだ長い長い長編の上巻を読む限りだが、大変面白く長さは全く感じなかった。主人公は太平洋戦争下、香港で諜報活動に従事していた守田征二。終戦を機に反日感情が増す香港に身の危険を感じ、帰国を決意する。しかし終戦の混乱の中、香港を離れることは容易ではない。身分を隠しやっとのことで、故郷福岡に帰還することに成功する。待っていた妻や子供。平穏な生活が続くかと思われた最中、征二は再び警察に追われることになる。なぜ追われ、なぜ逃亡しなくてはならないのか?先が気になる所で上巻は終わり。感想は下巻で。2018/05/06

ころりんぱ

63
憲兵というとやっぱり極悪非道な事をやっちゃった人というイメージがありましたが、これこそが私たちの受けた戦後教育の影響なのかも?と思いながら読みました。戦争って日本軍だけが酷い事をやったわけではなく、どこの国の軍でも敵を殺し、財産を略奪し、人間性を踏みにじる、そういう残虐な行為が行われていたのだと改めて思います。敗戦したから戦犯として追われる主人公。物語はまどろっこしいほどに細かく、長い。でもそれゆえ私が知らない時代のことをつぶさに教えてくれるのです。下巻もじっくり読みたいです。2015/01/24

kawa

51
太平洋戦争中の香港での日本軍憲兵の特殊任務の実態と敗戦による引き上げの苦闘を描く。上巻600頁、その後半で辛くも故郷に帰りつく主人公だが、依然としてB・C級戦犯としての追及が続く後半はどんな展開か…期待が膨らむ。知らなかった敗戦・戦後の様子が興味深い。戦地での日本軍兵士の残虐行為の描写に戦慄。2019/12/27

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