内容説明
鉄条網に囲まれた生活のなかで、ペンとインクと数枚の紙によって自らの証しともいうべき新聞が発行された。当時の読者と記者による新聞発行の苦労と苦難に耐え抜いた1つの集団の、戦後における出発点を再確認する精神の軌跡。
※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、予めご了承ください。試し読みファイルにより、ご購入前にお手持ちの端末での表示をご確認ください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Toska
4
偶々近所の図書館に置いてあったので。戦後、レイテ島の収容所で日本人捕虜が自主的に発行した手書きの壁新聞『曙光新聞』。その関係者らが当時の思い出を書き綴った一冊である。末期フィリピン戦の惨状から捕虜生活の様々な側面を伝える貴重な内容で、大岡昇平の『俘虜記』に比べると無名の書籍だが、こちらもできるだけ多くの人々に読まれてほしいと思う。捕虜という異常な状況の中で、新聞が、あるいは活字が発揮した求心力の強さ。香内三郎の解説も、戦中戦後の日本のマスコミについて鋭い示唆を含んでいる。2022/07/01