内容説明
「まるで山の通り魔だ」―福島の道行沢で発見された刺殺体。一方その直後、経団連会頭が誘拐され、身代金3億円の受け渡し場所があの道行沢近くの会津・田代山頂に指定された。事件を追う小野塚刑事の脳裏にあの刺殺体が甦る…。そして見えてきた“殺人と誘拐”が交錯する陰謀の全貌!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーコ・オクダ
22
営利誘拐といえば、リアルな事件捜査上でも、小説やドラマ上の事件でも、身代金の受け渡しがネックとなるのは大勢の人が知っているわけやけど、この作品では「山」を利用して成功するんよねー。でも、最後まで誘拐犯たちの思い通りに行くわけではなく、山で起きた未解決の殺人事件と絡み出し、ジワジワとそれぞれの事件背景が明らかになっていく。東京の誘拐と詐欺、会津の山奥の殺人と身代金強奪…7人のチームを組み、誘拐を企てた謎の美女の正体は?リーダー役に抜擢された理系オーバードクターの本心は??登山の趣味がなくても楽しめる。2022/01/18
k-katayama
8
ずいぶん前に購入し、一度は読んだ本だったのですが、改めて本棚から引き出して再読。内容もすっかり忘れていたので、新しく読んだのと同じ感覚でした。誘拐事件でありながら、誘拐者のリーダーと被誘拐者の大物との人間対人間の対峙がとても爽やかであったのは意外な展開でした。人間としての矜持をきちんと保ち、節度ある接し方をする誘拐犯のリーダーの人間性が、犯罪を別のもにし、殺人犯を追い詰めていく展開と交差していく構想が、非常にユニークな作品でした。たのしく読めました。2016/09/08
タカシ
4
経団連会頭の誘拐事件が発生、身代金の受け渡しは会津田代の山頂だったが…。序盤の仲間集めの話は無理があったけど面白かった。山頂での身代金のアイデアは良かったけど、途中からは盛り上がりに掛けたかな。2017/03/09