内容説明
深夜のファミリーレストランで突如、男の身体が炎上した! 遺体には獣の咬傷が残されており、警視庁機動捜査隊の音道貴子は相棒の中年デカ・滝沢と捜査にあたる。やがて、同じ獣による咬殺事件が続発。この異常な事件を引き起こしている怨念は何なのか? 野獣との対決の時が次第に近づいていた――。女性刑事の孤独な闘いが読者の圧倒的共感を集めた直木賞受賞の超ベストセラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
730
警察小説だが、まずは主人公の音道貴子巡査の造形がなんとも魅力的だ。ミソジニストの巣窟ともいうべき操作本部の中にあって、まさにその権化のような滝沢とのコンビネーションも成功しているだろう。そして、孤独なウルフドッグの疾風の姿からは崇高なまでの精神性が迸るかのようである。貴子と疾風とが首都高をひた走るシーンも見事な筆力だ。その一方で、犯人たちの動機がいささか弱い上に、第一の犯罪などは奇をてらい過ぎだ。物語の発端に花火をあげる必要があったのだろうが、結果的には小説の風格を下げることになりそうで惜しまれる。2019/12/28
遥かなる想い
456
第115回(1996年)直木賞受賞。 女性刑事 音道貴子の心理描写が秀逸で 面白い。男社会の刑事部の中での 立ち位置の微妙さがうまく伝わってくる。 事件は深夜のファミレスでの炎上から 始まる..オオカミ犬の登場は 珍しく 不気味で怖いのだが.. 推理小説としては 正直 あっけなく オオカミ犬の存在感だけが 際立つ..そんな展開だった。2017/06/04
yoshida
400
貪り読んだ。気が付けば物語に引き込まれ一気読みだった。主人公の音無貴子は警視庁の刑事。同僚である夫の不倫により離婚。謎の発火事件を追うため、刑事の滝沢とコンビを組む。貴子の前に立ち塞がる男社会の壁。事件を追ううちにオオカミ犬による殺人と事件はリンクする。男社会で闘う貴子の凛とした姿、徐々に貴子を認める滝沢との絆。私生活よりも職務を優先せねばならない警察官達の共通の苦しさ。そして何より気高いオオカミ犬「疾風」の存在。「疾風」をバイクで追う貴子。生まれかける絆。堅牢な構成に唸る。乃南アサさんの最高峰と言える。2017/02/26
Atsushi
377
帰りの通勤電車内で読了。窓から遠くに首都高が見える。駆ける疾風を追うバイクに跨った貴子の姿を思い浮かべてしまう。それほどまでの圧巻の追跡劇だった。一方で、仕事に励むあまり、家族に疎まれる男たちが何とも物悲しい。皇帝ペンギンの不器用さが良かった。第115回直木賞受賞作。2017/10/11
さてさて
302
深夜のファミレスで男性客が燃え上がり焼死したという衝撃的な〈プロローグ〉からスタートするこの作品。そこには、地道な捜査を続ける貴子と滝沢の物語が描かれていました。『無駄足を恐れないこと、黙々と同じことを続けられるだけの持続力があること、それが、刑事の条件』という刑事のお仕事を思うこの作品。『典型的な男性社会』で生きていく貴子を思うこの作品。人が突然燃え始めるという衝撃的な展開にも関わらず、読後に残るのは『オオカミ犬』とそれに対峙した貴子と滝沢のコンビを描く物語だった、という不思議な読後感が残る作品でした。2026/04/05
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