祥伝社文庫 国士無双

著者名：伴野朗

祥伝社（2012/01発売）

• ISBN：9784396327231

内容説明

「彼がいなければ天下は取れなかった」と漢の高祖・劉邦に言わしめた天才武将・韓信。著名な故事ともなった「股潜り」の屈辱に耐えて身を起こし、韓信はいかにして兵法の常識を破る「背水の陣」をなし得たのか？　項羽を追いつめた豪雄の波瀾万丈！

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[wasabi]

項羽と劉邦の物語だが、ここでの主人公は軍事の天才で、常勝将軍と讃えられた韓信が務める。「背水の陣」や「四面楚歌」の語源由来を学ぶ。項羽に仕えるも重用されずに配下から離れ、劉邦の下で頭角を現すが降格に次ぐ降格で反乱を起こし、呂后の手にかかる。「韓信の股くぐり」なる不名誉な行為さえ、教訓めいた故事として伝える将軍。平民から斉王にまで上り詰めながら、その虚しい最期は彼が謙虚さを欠き、自らの功を誇ったことに因ると著者は括る。そうだろうか。項羽にせよ劉邦にせよ、有能な部下ほど畏れて遠ざけ、挙げ句に処刑するんだもの。

2018/05/11