内容説明
「いくっ、ああ、いきますっ」――美少年は全裸にされ、麻縄で縛られた。三人の醜い者たちに陵辱され、悶える美少年は妖しいほど美しい――。澄み切った黒い瞳、柔らかな鼻の線、花びらのような唇……気品と妖気のようなものさえ感じられる美男子の菊雄に、同性にもかかわらず、私はひきつけられていった。ある夜、私の下宿に泊まった菊雄に、堪えきれなくなった。熱っぽく息づく菊雄に欲情し、やがて唇と唇を重ね合わせ、そのまま……。官能小説の巨匠による精液と愛液にまみれた短編集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
77
エッセイなのか?小説なのか?判然としない短編集。妻の不貞に苦しみつつ自虐的な喜びを見出す「不貞の季節」、学生時代の同性との日々「美少年」、異常性欲者のユートピア「鹿の園」、日活ロマンポルノの谷ナオミを扱った「妖花」。全作品で語られる著者の仕事ぶりが非常に興味深いです。2021/07/11
みつき
24
先生の自伝の何がすごいってどこまでが真実で、どこからフィクションなのか全然わからない事。『不貞の季節』はそこまで書くのかと心配になるくらい妻に不貞を働かれた男の哀愁が滲みでていて痛々しく、『美少年』は冷静な筆致なので、意外に淡々と読めますが、じんわりと悲哀を感じるような作品。『鹿の園』は割愛・・・(笑)『妖花』は谷ナオミの半生を彼女目線で描いているかと思いきや、そうではなく、いつもの団先生目線で、渥美清やたこ八郎、篠山紀信との付き合いも含め、日活ポルノの全盛期を追憶する内容で、裏話が聞けて面白かったです。2013/02/09
白黒豆黄昏ぞんび
12
団先生ご自身よりも、谷ナオミに俄然興味が湧いた。よ~し、日活ロマンポルノを観まくるぞ~!2013/04/26
桜もち 太郎
11
官能小説というよりも、作者自身の経験からの随筆という感じがしました。良かったのは「不貞の季節」。不貞・・・、なんという淫靡な響きなのでしょう。妻が自分の信頼する人間と関係を持つ話です。実際にこんなことが自分の身に降りかかると恐ろしい気がしますが、ゾクリとします。淫靡な世界、素敵です。「妖花」ではまだ若く元気だったころの渥美清が出てきます。男はつらいよの寅さんを彷彿とさせるエピソードがとても良かったです。2019/03/21
まこ
10
表題作はBL要素ありなんだけど、ヒロインの喋りがまんま女性で、違う団先生、そうじゃない。一緒に収録されていた別の話のヒロインの方がはっきり女性なので、男性に変換して萌えたぞ2021/11/06