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内容説明
大人も子どもも心にさまざまな重圧がかかっているいま、カウンセリングや心理療法に心のケアを求める声が大きくなってきている。本書は、カウンセリングとはどういうものかから、いかに悩みや苦しみを受けとめ、対処していくかまでを根本から語っている。(本作品は一九八五年四月、創元社から刊行されたものを、文庫収録にあたり再編集したものです)
目次
第1章 家庭・学校で問題が生じたとき
第2章 心を聴く
第3章 カウンセラーという人間
第4章 「治る」とき
第5章 限界があることを前提に
第6章 役に立つ反面の危険性
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やすらぎ🍀
172
人間がほんの少しでも変わることは実に大変なこと。一対一のカウンセリング。本で学ぶ理論だけではなく実際の対話と経験が必要である。自分が治すのではなく相手が自然と治っていく力を引き出し、心の叫びに真摯に耳を傾けるのである。沈み込みそうで脱け出せそうな一面の狭間で、カウンセラーは最後まで辛抱強く待つことができるか。聞き出そうとせず、あえて深みに入らないように、立ち直るまで待つ。一つの成功が正しい手法ではない。優しさだけではなく、ときに厳しく振る舞う難しさ。自分の器ををどれだけ豊かに持ち続けられるかが大事である。2022/06/19
さゆ@俳句集販売中
168
講演録のため平易でわかりやすい。子供、あるいは大人でも悩みを持っている人に対して、どう接すればいいのかはカウンセラーに限らず必要なことで、現代の規範になっていると思えるほどの先見性に驚いた。特に、問題児は問題を投げ掛けてきているのであるという発想の転換は面白い。問題は問題があるから問題として表れる。つまり、問題の後ろを解決しなければいけないということだ。2024/03/22
しょうじ@創作「熾火」執筆中。
29
【1回目】四天王寺主催のカウンセリング研修講座における講演を再編して1985年に発刊。99年に文庫化されたもの。上下二分冊。河合は、ユングや箱庭療法の担い手として知られているが、この本ではカール・ロジャーズを基本としていると考えてもよい。これは少し意外であった。また、研修講座だけあって、初学者やカウンセリングを志す、あるいは必要としている教師などに向けられている。いささか古さを感じさせなくもないが、それは腑分けして読めばいい。産湯ごと流してしまうのはもったいない。感想になってないので、ブログを書く予定。2018/10/08
佐島楓
15
カウンセリングは格闘技に似ているというところ、クライエントへの想像力を高めるには文学を読むといいというところが印象に残った。下巻へ。2012/10/13
あこ
13
著者は臨床心理学者。20年もの間、毎年開催してきたカウンセリング研修講座の講演記録をもとに書かれた本。心の底まで満たされる感じで、実際に講演を聞いているようで贅沢な気分になりました。〜人間とかカウンセリングとかいうものには、いつも相反するものがある。だから問題点や危険があれば、いいところがある。こういう二つのものをずっと見ていく姿勢がカウンセリングには望まれるのではないか〜2017/11/10