内容説明
偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を消してみせた。一夜あけて、再びオリオン像が現れた時、2つの死体が発見され……。犀川助教授と西之園萌絵の理系師弟コンビが館の謎と殺人事件の真相を探る。超絶の森ミステリィ第3弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
632
本書の最大の謎は天才数学者天王寺翔蔵そのものかもしれない。本書で特に印象的だった言葉がある。“人類史上最大のトリック……?/(それは、人々に神がいると信じさせたことだ)”この実に鮮烈な2行は見えない物を見ようとし、謎に翻弄される登場人物に対し、見えない物を信じ、縋る人々の存在とは非常に対照的だ。内と外、見える物と見えざる物。これはその対立する2項を行き来する人間の愚かさを描いた作品か。そして真理を見抜く者は目で見た物を信じない。我々が見ているのは現か幻か。なんだ、本書は実は江戸川乱歩に捧げた書だったのか!2015/03/16
勇波
386
シリーズまだ全部読み切れてないけど、最高傑作だと思う。舞台設定から謎解きまで全くスキがない鮮やかな展開。あと完全に個人的な感想ですが、犀川先生は四季さんと萌絵ちゃんには勝てないが天王寺博士には勝ったんじやないか?(笑)2014/06/24
absinthe
365
犀川&萌絵のシリーズで一番好きな話だ。実はこの話が本当の第一作だったらしいが、担当がより個性の強い話を求めて「全てがFに…」をデビュー作に選んだらしい。メフィスト賞の性格付けに都合が良かった?のだろうか。「すべてがF…」の方が個性はあるが、こちらの方が深みがある気がする。実は本作、全ての謎は明かされないのだ。
ehirano1
277
大変申し訳ないかもしれないのですが、本文よりも冒頭の引用文に圧倒的に引き込まれてしまい、これだけでも手に取った価値があったと、当方は明後日の方向に行ってしまいました・・・。2015/12/22
カメ吉
256
S&Mシリーズ3冊目。面白い!最後はまったく読めなかった。殺人のトリックは見事でこれぞミステリー!って感じです。S&Mのコンビも相変わらずイイ感じでそっちも楽しめました。けど、オリオン像が消えるトリックのおおまかな原理は結構早くに解けた。 細かい箇所はさすがに無理でしたが…。自己満足で読後感も良しでした。2017/02/22