内容説明
現役最長老「越中富山の売薬さん」を訪ねる途中、魚津埋没林博物館で幸運にも蜃気楼に出会った浅見光彦。そこへ案内してくれた館員梶川優子の祖父急死の報が入ったが、その尋助こそ取材すべき人物であった。尋助の足取りを追う浅見の前に虚飾に満ちた世界が露わにされてゆく。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
83
【浅見光彦シリーズ】第71弾。今回の光彦、真相を論理的に語る終盤は正に名探偵である。謎解きとしても意外な犯人であり、確りと伏線が張られた良作である。現役最長老の富山の売薬さんを取材に訪ねる途中、魚津の博物館で蜃気楼に遭う光彦。幸運を喜んでいたのだが、その博物館の館員の女性の祖父が急死したと伝えられる。その人こそ、光彦がこれから取材に向かうべき、富山の売薬さんであった。先ず売薬さんの仕事を、初めて知る作品となり興味深い。また、旅情ミステリとしても絶品の風景が頭に浮かび、一度は必ず訪れたいと感じる物語となる。2022/10/17
しんた
9
哀しい女性の話。富山の常備薬、蜃気楼、京都の大江山、やはり内田作品は旅情が魅力。今回は渾身のドンデン返しを狙うも個人的には不発と思われる。2015/07/25
スカイラ・プリメラ
4
よくあるパターンで、物語の後半に容疑者が死亡する等で嫌疑の対象から外れるというのがある。某作家の作品などでは、そこから新たな人物が真犯人として浮上し解決することがあるのだが、内田氏はそんな陳腐な手は使わない。作中のどこかに出た人物が真犯人として物語がきちんと収斂するよう、ちゃんと伏線が張られている。毎度のことではあるが見事。氏はプロットを作らずに執筆すると聞いたことがあるが、それはないでしょ(笑) オニハクと埋没林博物館に行ってみたくなった。蜃気楼を見てみたい。2018/03/17
ひーたろー
4
浅見光彦シリーズ、ドラマでは結構見たけれど、本では初。車に電話がついてるとか、携帯電話が高価とか…時代を感じます。置き薬のシステムは「そうなってるのか」と興味深かったです。ただ、真弓さんの考え方はちょっとわからないわ…。2014/05/30
風竜胆
3
蜃気楼とは、大気の状況によって光が屈折し、遠くのものが浮き上がったり、反対になって見えたりする現象である。我が国でも、富山県魚津市で見ることができる蜃気楼は有名だ。この作品は、蜃気楼をモチーフとして使った、内田康夫による、浅見光彦シリーズの旅情ミステリーである。⇒続きhttp://blog.livedoor.jp/magic55girl/archives/1683358.html2012/09/08
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