ちくま新書<br> 戦後の思想空間

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ちくま新書
戦後の思想空間

  • 著者名:大澤真幸【著】
  • 価格 ¥715(本体¥650)
  • 筑摩書房(2015/07発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480057662

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内容説明

いま戦後思想を問うことの意味はどこにあるのか。戦後民主主義を潮流とする戦後知識人の思想は、米国を中心とする世界システムのマージナルな部分として位置づけられた戦後空間の中で醸成された。しかし70年代を転回点に、米国の善意を自明の前提とした構造はリアリティを失っていく。こうした状況を踏まえて、西田幾太郎、田辺元の京都学派や和辻哲郎などによって唱導された戦前の「近代の超克」論を検証し、ポストモダンから〈戦後・後〉の思想へと転換する思想空間の変容を、資本の世界システムとの関連において鋭く読み解く戦後思想論講義。

目次

第1章 戦後思想の現在性(なぜ「戦後」を語るのか 戦争と敗戦 戦後知識人とアメリカ 1970年代の転換点)
第2章 「近代の超克」とポストモダン(脆弱な天皇 資本主義とその挫折 「近代の超克」論 天皇制ファシズム)
第3章 戦後・後の思想(記憶の不在 戦後・後思想概観 消費社会シニシズム ガスについて 自由の条件の探求に向けて)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

39
非常に優れていて、いつも驚かされます。ある事象や文献について①標準的とされる見方が示され、②それに対する著者なりの別の解釈が与えられ、③他の論点とつなげてさらに展開されますが、優れているのは②③ではなくて、①のキレの良さです。じつは、①に既に、②③に飛躍する秘密が隠されているのですが、単に①だけ理解しても、柄谷行人『マクベス論』はそう読むのか、加藤典洋や丸山眞男はそう理解するのかという発見が随所にあります。さて、読み辛いのは2章です。1章、3章は時系列でつながっていますが、2章は戦前に戻っています。戦2019/11/09

林 一歩

15
911や311を経て「戦後レジームからの脱却」を謳う総理がいる現状での再読は有意義であった。2013/02/28

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6
まず、明治・大正・昭和の各時代を天皇と国民の関係として、「天皇の国民」・「天皇なしの国民」・「国民の天皇」と位置づける。興味深いのは、天皇の実在性が希薄化した大正時代に、それに匹敵するほどの支持を集めた、自らを皇族と名乗る病者「蘆原将軍」のエピソード。また後半での「信じていないのにそうする」シニシズム(=啓蒙された虚偽意識)を規定とした〈資本主義社会〉に生きる以上、他者への強い欲望は避けられないとする議論・・・うまくまとまらない。ふと思ったのは、せめて自分の些細な欲望くらいは消されないようにしたいねと。2014/09/20

あなた

6
ウルトラマンの位置づけがおもしろかった。もともと、ウルトラマンとアメリカやウルトラマンとオキナワをどう位置づけるかというのが戦後日本の基本的課題としてあって、真幸はさらりと触れているだけだが、誰か一冊ウルトラマンの思想的位置づけをやってもらえないだろうか。ちなみに怪獣の思想的位置づけは、ユリイカの『モンスターズ』に。最近は、大学の授業でウルトラマンをテクストとして文化理論をひととおり教える授業もある。大妻だけど2009/07/23

NICK

5
以前読んだ『不可能性の時代』のプロトタイプという印象。日本は60年周期で転換期がくるという考えから、戦前~戦後・後までを俯瞰している。どうにも論理の飛躍っぽさや恣意的な解釈っぽさが感じるのは自分だけだろうか。確証はないのでどうともいえないが…… ともあれウルトラマンが(当時の)日本にとってのアメリカ的な他者なのではないかといった推察や戦後・後においては自己の同一性を保証する超越的な審級は成り立たず、ただひたすら他者に執着するシニシズムが蔓延しているというのはなかなか面白かった。縦横無尽な接続が大澤の魅力か2012/06/06

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