河出文庫<br> ねむり姫

個数:1
紙書籍版価格
¥660
  • 電子書籍
  • Reader

河出文庫
ねむり姫

  • 著者名:澁澤龍彦【著】
  • 価格 ¥660(本体¥600)
  • 河出書房新社(2011/09発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784309405346

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

内容説明

なんの前ぶれもなく、永いねむりについてしまった美しい姫と、腹違いのひとりの童子――中世の京の都を舞台に繰り広げられる男と女の不可思議な生涯を物語る表題作のほか、実母の生んだ牝狐を愛して命を奪われてしまう男の物語「狐媚記」、夢が男女の出会いを予告する「ぼろんじ」など、あやかしの物語六篇。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

269
澁澤龍彦といえば、エッセイの数々で、古代ギリシャから中世、ルネッサンス、果ては現代文学から現代芸術全般に至るまで、まさしく博覧強記の衒学趣味。だが、ここには彼のもう一つの顔―すなわち、日本の古典をこれまた縦横無尽に駆使した、翻案幻想物語の語り手としての澁澤がいる。彼の語る物語はそのいずれもが、空間も時間も周囲からは隔絶し、ぽっかりと中空に浮かんでいるかのような独特の様式を持っている。ここに収録された6篇のいずれもが、そんなスタイルだ。澁澤の語る物語を読むのは、まさにしばし仙窟に遊ぶといった趣きなのである。2013/02/02

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

168
幻惑。陶酔。何処かで聞いたような、何処にもないような、教訓があるのかないのか、何が言いたいのか。よく分からないけどどうしようもなく好き。 噛みちぎられた腕。終わらない笹舟。歪んだ執着、グロテスクな性。何処までも清廉な恋。生首。 狐は物語的な生きものだ、と思う。 【収録作品】ねむり姫/狐媚記/ぼろんじ/夢ちがえ/画美人/きらら姫2019/10/10

buchipanda3

103
姫(女)と童子(男)の妖しげな物語が綴られた時代奇譚集。いやあ堪らない。洒落の利いた講談のような語りでスラスラ読ませる。それでいて中身は深みを持ち合わせ、上質な読み応えのある満足感がもたらされた。人間らしい愚かさと情、あやかしのおどけた恐ろしさ、そして叶うも叶わぬもある思い通りにならないこの世の空虚が話から沁み出していた。生涯ねむり姫と因縁を持ち続けた男が残したもの、管狐に憑かれた者の果て、夢違えの帰結、得も言われぬ味わいを残す著者の奇想に溺れた。出し抜けの大天狗のホーヴァークラフトがこれまたいいね。2020/01/17

安南

55
定家『明月記』に想を得た『ねむり姫』紡錘は螺旋好きならではのモティーフか。妖の異類婚姻譚『狐媚記』幽玄さの中に獣臭漂うエロティシズムにうっとり。『夢違え』精神分析的な夢奇譚はシュニッツラーを思わせる。『ぼろんじ』トーキー時代の股旅映画のようなとぼけた感。くるりと反転するカメラワークが快感。『きらら姫』江戸、鎌倉を舞台にした時空越え。江ノ島から湾を横断する地下道に興奮。どれも楽しく、何度読み返してもしみじみと味わい深い。ときどき入るイマドキ言葉もお茶目。2015/03/21

優希

54
昔の日本を舞台に繰り広げられる幻想的な物語の数々が美しかったです。和の世界が映えますね。全てが生と死、夢と現を彷徨いながらすっと消えていくように終わりますが、その感じが好きです。懐古趣味が闇の世界と艶やかでエロティックな世界を際立たせていると思いました。こういう艶のある世界観が好きですね。夢幻の世界に酔い仕入れました。2014/10/30

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/521941
  • ご注意事項