内容説明
海芝浦に向かう「私」を待ち受けるのは浦島太郎、レプリカント、マグロの目玉…。たどり着いた先はオキナワか? 時間と空間はとめどなく歪み崩れていく。言葉が言葉を生み、現実と妄想が交錯する。哄笑とイメージの氾濫の中に、現代の、そして「私」の実相が浮び上がる。話題騒然の第111回芥川賞受賞作の他、二篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
165
第111回(平成6年度上半期) 芥川賞受賞。 とにかく不思議な小説である。 マグロとの恋に悩む私が、 電話の主の望みに 従い、外に出ていく…独白が 延々と続き、人とのかかわり合いも ない。目的もなく、電車に乗って、 無人の駅で、時間を無駄に過ごす。 著者は何を 描こうとしているのか?過去の 思い出が次々とあらわれてくるが、 正直よくわからない物語だった。 2014/09/07
absinthe
137
ポストモダンは苦手だ。言いたいことはabsintheには通じなかったので、せめて言葉遊びだけでも楽しんだ。ブレードランナーを彷彿とさせる行きついた社会の景色と著者が思っているところ、海芝浦の灰色のコンビナート。社会との接点を失いかけている主人公が、見慣れたはずの景色の中を異世界に来たかのような主観で漂っていく話。感覚的な表現が多く論理的にまとまりが無いため苦労する。海芝浦駅は実在するようだ。2023/08/14
kaizen@名古屋de朝活読書会
106
芥川賞作品。著者が生まれた四日市のコンビナートと、電車でいった海芝浦から見るコンビナート。東芝社員以外は駅から出られない。昔と今とが錯綜する。出てくる「マグロ」の意味が不明だけど、話を読みたくなくなるような嫌悪感はない。そんな人もいるのだろう。病んでる都会の片隅をうまく描写しているような気がした。2013/12/02
ももっち
32
ボーっとしている時に、なんの脈絡もない考えが取り留めもなく次々と浮かんでいくことがある。この話は、まさにそのイメージの氾濫であり、シュールなこと、この上ないのに、何故か妙に共感を覚える。マグロかスーパージェッター?に訳も分からず呼び出され、海芝浦を目指し夢幻のような旅をする主人公はマグロに恋している。このマグロの設定すら何かの暗喩と深読みする必要はない。もう感じればいいのだ。存在するかどうかも不明の映像を電車の窓から見る景色みたく、ただ楽しめばいいのだ。やはり笙野さん好きだ。でも、人には薦められない(笑)2016/02/17
Fondsaule
28
★★★☆☆ 「タイムスリップ・コンビナート」、「下落合の向こう」、「シビレル夢ノ水」3編の短編集。 マグロとの恋愛、スーパージェッター、海芝浦駅、ハワイ、沖縄、アメリカのチョコレート、ブレードランナー…… 謎の要求に応じ、欲求にまかせ、想像と現実の境目へ。おもしろい。2022/01/03
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