内容説明
綱吉の後継将軍擁立をめぐり幕閣は二派に分かれて熾烈に対立。柳沢吉保は紀州綱教を立て柳影組をつくり陰謀をめぐらせば、他方、間部詮房は背後に水戸光圀がいて天目党を組織。誘拐、スパイ等々、両派の確執を横目に、首領の、凄艶な女の肌に刺青を彫る砂絵師――。阪東妻三郎主演で映画化されるや、ニヒルな主人公が多くの共感を呼び、熱狂的読者を獲得した、土師清二の名作伝奇小説、出世作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
NICK6
6
著者の代表作。同時代作家の林不忘の丹下左膳など系譜同じくして、今作は森尾というニヒリスト剣士が出てきて、ヒーロー役の人気を喰った、とよく紹介されているので、当然彼に注目して読む。が程なく、一番のお気に入りは、悪女のお酉となった。その妖婦ぶりはこちらの思惑軽々超えて濃厚にブレイク。おんなは、溺愛と嗜虐。モードの両刀遣い。しかも情緒の乱高下が激烈で、ワクワク度は森尾なんかの比ではないのだ。著者はこの男だけ心象表現を極端に抑制。であるせいで、意表突く言動が多く、その度に驚きがあって面白いが、ま、やはりお酉だ! 2022/11/18
保山ひャン
3
綱吉の後継を巡って、柳沢吉保の柳影組と水戸光圀の天目党が対立。正義は天目党にあるが、ニヒルな森尾重四郎は柳影組側につく。妖婦の肌に入れ墨を彫りたい砂絵師、生き面を作る職人、贋金作りなどを配し、大奥に密偵として入る娘の冒険など、大衆娯楽の極み!2017/06/27
イコ
0
登場人物が途中からかなり増えるのが辟易するがまあ面白い。2021/02/27