角川文庫<br> 狗神

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角川文庫
狗神

  • 著者名:坂東眞砂子
  • 価格 ¥550(本体¥500)
  • KADOKAWA(2013/09発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041932032

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内容説明

過去の辛い思い出に縛られた美希は、四十路の今日まで恋も人生も諦め、高知の山里で村人から「狗神筋」の一族と忌み嫌われながらも、静かに和紙を漉く日々を送ってきた。そんな時、一陣の風の様に美希の前に現れた青年・晃。互いの心の中に同じ孤独を見出し惹かれ合った二人が結ばれた時、「血」の悲劇が幕をあける! 不気味な胎動を始める狗神。村人を襲う漆黒の闇と悪夢。土佐の犬神伝承をもとに、人々の心の深淵に忍び込む恐怖を嫋やかな筆致で描き切った傑作伝奇小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

徒花

218
うーん、まあまあ。狗神の血筋を引く一族の怪奇小説。帯コピーで煽られていたほど「驚愕の一冊」ではなかったなあというのが正直な感想。特にラストシーンがなんともB級ホラー映画のようになってしまっていたのがちょっと残念だった。心霊的な怖さを楽しむというよりも、「田舎コミュニティ」の怖さが強い。あと、ドロドロの極みのような愛憎入り混じった男女の恋愛劇を楽しむ作品だろうか。つまらなくはないけれど、しいて人にオススメできるほどでもないかな。2018/10/29

YM

92
読友さんの感想に惹かれて。僕はホラーが苦手だけど、四国に住んでたことあるし、犬だし、表紙がいい感じだしいってみるかと手にとったら、さすが村社会、すんごいドッロドロでおもしろい!自分を抑えて、一線引きながらの駆け引きと、田舎のジメジメした空気感がかなりエロい。美希が吹っ切った瞬間は爽快だった。でも晃の「関係ないよ」はグッときたなあ。色々乗り越えて、本当の意味で"ピュア"な状態は美しいな。みんなが恐れるわけだ。2015/01/08

Tetchy

68
なんとも業の深い物語だ。日本の田舎の土の匂いまでも感じさせる文章力はさらに磨きがかかっていると感じた。美希の境遇に同情せざるを得ないような形で物語は進んでいくのだが、次第に明かされていく彼女の過去のすさまじさには読者の道徳観念を揺さぶられる事、間違いないだろう。この坂東眞砂子という作家は、人間が正視したくない心の奥底に潜む悪意というものを眼前に突き出すのが非常に上手い。「これが人間なのだ」と決して声高にではなく、静かに読者に語りかける。人間が獣の一種なのだという事実を突きつける。2009/10/23

おかむー

66
15年ぶりぐらいの再読でおぼろげな筋ぐらいしか記憶になかったのでかなり新鮮に読めた。『よくできました』。ジャンルとしてはホラーに分類されているけれど、実際にはほぼオンナの情念をメインに描いた物語で、ホラーと呼ぶには恐怖感が不足していたね。むしろ長きに渡って坊之宮家に潜み力をたくわえた【それ】が一族を生贄にして蘇った物語として見れば、ラストの先にこそホラーな展開が待っていると期待もできるのではなかろうか。細やかで色彩豊かな情景描写が見事なぶん、55歳とまだまだこれからという年齢で作者が逝去されたことは残念2014/03/06

ちぐりん

57
《再読》坂東眞砂子さまお得意、土佐の犬神伝承を題材にした閉鎖的な村社会でのお話。「狗神筋」と言われながらも穏やかに暮らしていた四十路過ぎの美希。赴任してきた晃と出会った時から、村に異変が起き始める。漆黒の闇が悪夢を現実にしていく。 なんとなく大筋を覚えていたのと「残穢」で耐性がついた気がしていたので、中盤まではまぁそんなに怖くないよね、とスローペースで読み進めていましたが、クライマックスはおぞましさにぞくぞくしながら一気読みでした。最後まで読んでからプロローグを思い出すとより一層背筋が冷たくなります。2019/05/18

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