内容説明
冤罪――。多くの冤罪は、杜撰な見込み捜査、代用監獄での苛酷な取調べが元凶だ。人にありがちな誤謬ではなく、捜査当局のメンツ意識や責任逃れ、時には功名心の結果だ。実際にあった、女子短大生強姦殺人事件の“思い込み自白”のプロセスを明らかにし、冤罪という“罠”を浮き彫りにする力作ノンフィクション。(『夢遊裁判-なぜ「自白」したのか』改題)
目次
1 神に詫びる犯人
2 自閉精神病質
3 陳腐な見込み
4 代用監獄
5 虚偽自白
6 イソミタール
7 密室の呪縛
8 夢遊裁判
9 傍聴の力
10 DNA鑑定
11 暴かれたまやかし
12 逆転無罪
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
丰
0
Y-102006/12/25
甲楽城
0
1981年6月に大分で起きた殺人事件の免罪事件を扱う本です。ずさんなDNA鑑定や毛髪鑑定などの科学鑑定についても多くのページを割かれていますが、著者も述べるようにメインは、何故被疑者は虚偽の自白をするに至ったか、にあると思います。刑事たちの取り調べは、自分があたかも犯人であるかのように思わせ、自分たちの描いたシナリオへと強引に引っ張っていくようなもので、読んでいて気持ち悪さすら感じます。その状況に陥った人間が、心理特性のいかんにかかわらず、そうそう持ちこたえらるとは思えません。2019/08/29