内容説明
初秋の一夜、銀座をそぞろ歩く大江白虹と折口幸吉は、奇禍に遭った妙齢の女性、笹本芳枝を助ける。聞けば数日来怪しい影に悩まされ、ために夫の静雄は病みついてしまったという。乞われて大江、折口の両人が乗り出すが、時すでに遅く、緑衣に身を包んだ賊の魔手が静雄に、そして芳枝に……。事件の表舞台は東京から伊豆半島の海岸、紀州城山へと転々、恋愛模様を彩りに風光明媚な地で展開される犯罪は、いまひとりの探偵、乗杉竜平の登場を得て漸くその全貌を見せる。海外の名だたる古典を日本の土壌に移し、見事に開花、結実させた翻案小説の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kircheis
200
★★★☆☆ フィルポッツ作『赤毛のレドメイン家』の翻案小説。 メインプロットはそのままに、ヒロインの芳枝が裸のまま水槽に入れられるなどのエロ要素と緑衣の偏執狂や笑う影絵などの怪奇風味が加えられている。 乱歩特有の大袈裟な表現が多く、犯人を分かりやすくさせてしまう点があるので、ミステリとしては本家に比べ見劣りする。その分読みやすいとは思う。 子供時代に読むなら本作、大人が読むなら本家が楽しめる気がする。2020/12/10
よもぎだ
23
江戸川乱歩は初読みだったのですが、想像以上に楽しく最後まで読ませていただきました。この作品が一際優れているというわけじゃないのかと思いますがミスリードの巧みさといい、解決編で明かされるまさかの事実といい、ミステリとしての逆転劇もあって素晴らしいなと。わかる人にはわかるトリックなのかもしれませんが、かなり楽しめました。やはり大御所の作品をちゃんと読んでおかなきゃなと改めて思った次第です。2025/03/25
ソルト佐藤
14
赤毛のレドメイン家を読んだので、どう変わったかを確かめるために乱歩の翻案を読む。わりかしクラシックなミステリだった赤毛が、乱歩にかかると、怪人が動き回るスリラーですよ!(笑 やっぱり、あの男が好きだったのか! 原作より、登場回数も多くて、不思議な現象が増えてくる。なにより、後から作だからこそ、原作の適当な死体の処理をちゃんとしているのが素敵。そして、たぶん、乱歩が好きだったと思われるもう一つ部分、真犯人。最後のシーンは、原作よりずっと隠微で美しい。2019/08/09
Tetchy
10
フィルポッツの『赤毛のレドメイン家』を翻案にした作品だというのは乱歩自身公表しているが、見事に乱歩の作品となっていると云える。『魔術師』、『蜘蛛男』と続く一連の猟奇物と比肩する作品だろう。逆に云えば、これらの作品が世間に好評をもって迎えられたため、次の話をどうしようかと悩んだ乱歩が苦肉の策としてアイデアを拝借したのだろう。しかし本家が赤で、こちらが緑か。乱歩は緑が好きなのか?黒蜥蜴も緑川夫人だったし。2009/07/24
おバムちゃん
5
(オーディオにて 『緑衣の鬼』) 緑衣の鬼が何度も何度も現れるし、似たような伯父さんが二人も出て来るがために居場所もころころ変わるし、単調な部分もあったが面白かった。 電話がない時代の不便さがハラハラさせられる。警察へ連絡する前に自分たちで追いかけてみようとする意識がたくましいんだか無鉄砲なんだか。2023/04/14
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