内容説明
馬割一族が経営する玩具会社の製作部長馬割朋浩は、旅行に出発する直前、隕石に当たり急死した。その葬儀も終わらぬうち、今度は彼の愛児が睡眠薬を誤飲し、死亡した。二つの奇禍をきっかけに、奇妙な方法による連続殺人が、この一家を襲いはじめた。事件の裏にあった、江戸時代にまでさかのぼる馬割家の秘められた謎と、ねじ屋敷に作られた大迷路の秘密を追って、男まさりの美人探偵と、新米助手の活躍が開始された。第31回日本推理作家協会賞を受賞した、本格推理の最高傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
13
タイトル通りからくりが沢山。著者らしいミステリで楽しめた。2015/08/07
大泉宗一郎
9
日本推理作家協会賞受賞作。隕石が自動車に衝突するという奇想天外な出だしから、次々に登場する江戸時代より伝わる奇っ怪なからくり玩具と、それを用いた連続殺人。玩具や人形以外にも、庭園の迷路や、隠れ抜け道など屋敷に仕掛けられたからくりにもまして、まさか事件の真相にこんな大それた”からくり”が仕掛けられていようとは。ミステリ始まって以来の”真相”。まだこんなパターンがあったのかと、著者の斜め上をいく発想に敬服するほかない。蘊蓄や会話のせいでテンポが悪くなっているのがだいぶ気になるが、ミステリの面白みは堪能できた。2018/11/23
giant_nobita
7
個々の殺人事件で使われるトリックについては、そんなに上手くいくだろうかという疑問が湧いたし、読者への目くらましのために登場人物が偶然死んでしまうというのもズルい気はしたのだが、からくりという主題と意外な犯人の組み合わせが絶妙につきづきしく、多少ぎこちなくとも古典としての風格の漂う作品だった。2017/12/14
ハルカ
4
これだけ奇奇怪怪の手法を用いたり雑多なからくりを披露された後でも、著者がまだ何かを隠しているのではないかという、どうにも奥深い怪しさを感じる。もう少し奇術を見たいと思っていた内にステージの幕が下りてしまったような。迷路のある屋敷といいからくりといい、童心を大いにくすぐられる物で溢れていながら、話もよかった。2012/04/14
サムライミン
4
基本まっとうなミステリーでちゃんとたいへんおもしろい ただしょっぱな、いきなり依頼者が隕石で死ぬのすげー こんなミステリー初めて2011/10/28