河出文庫<br> 憂鬱なる党派上

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河出文庫
憂鬱なる党派上

  • 著者名:高橋和巳【著】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • 河出書房新社(2014/04発売)
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  • ISBN:9784309420066

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内容説明

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大学を出て七年、三十歳を過ぎた西村は、平穏な職場と家庭を捨て、書きためた原稿を抱えて昔の友人たちの前に現れる…革命の理念のもと、警官隊との激突、火焔瓶闘争、ハンスト、党派抗争、リンチ事件と激動の青春時代を共にした旧友たちは、いま何を考え生きているのか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

遥かなる想い

71
戦後の学生運動に身を投じた人間にとって、本書は切実な物語であるように思う。「若さ」をぶつけたものがいったい何だったのか。それにしても、硬質な文体である。ただし、読んでいてさっぱりわからないわけではない。時代の暗さ・情熱のようなものが伝わってくる。2010/06/26

solaris

10
この作家は一筋縄ではいかない。十ページぐらい読むと、中途半端に手を出した後悔を感じると同時に、他の本では味わえない心の深いところまで染み込んでくる重厚な文章に出くわしたことでワクワクする。学生運動、政治介入、左翼闘争、過ぎ去った鬱積された時代。今、憂鬱は不要の代名詞。「人間の思想というものはその思想を信奉するものの利益を代表しているに過ぎない。だから利益の形態が変り、利益追求の方法が変われば、思想も変わります、あるいは別な思想を遵奉することになるわけです。」びっしり重厚すぎて読みづらく先が思いやられる。2016/09/08

nouvel

1
「カラマーゾフの兄弟」の大審問官の章並の密度の濃い会話の連続で、鈍く重く突き刺さる。こんな本が今では書店では手に入らないなんて時代がどうかしているとしかいいようがない。それにしても結末は救いがない。カラマーゾフでは最後は信仰に救いを求めたが、マルクス主義に信仰を求めた村瀬の結末はつらい。だが、ここで思い出すのは漫画版『風の谷のナウシカ』。ナウシカ「私たちは血を吐きながら繰り返し繰り返しその朝を超えて飛ぶ鳥だ!」。絶望も希望もコインの裏と表で、片方だけではもう片方の価値は支えられないように思う。2015/01/08

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