内容説明
「しぐさ」は、私たち自身の最も身近な「文化の表徴」とでもいうべきものである。今まで見逃がされがちであったしぐさ、身振りを取り上げ、そこに日本人の特質をさぐる名品というべきエッセイ集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
8
加藤典洋『敗者の想像力』に出てきて、勝とうとしない姿勢の実践として文筆していると知り、とても気になった人。「しゃがむ」「ほほえむ」「相槌を打つ」などの動作を文化圏の特徴をつかむ起点とする研究風エッセイで、いい加減を装っているし、実際いい加減でもある。実際的な作業だった「頭を掻く」が日本人特有の癖として残り、フランス人は食事の前にもみ手をする癖がある。文化的無意識としての癖と、個人的な癖。この癖への注目が、ある種の最適化である「勝者」とは別の場所に通じている思える。2021/03/08
San fairy Ann
5
博学なおじさんの日本文化に関する四方山話という感じで知識に裏づけられたおもしろい話がある一方たぶんに主観的な決め付けのようなものも多々混じっていて眉唾なところも少なからず2015/06/15
編集長
2
最近、テレビのインタビューを聞いていると、なんでも「そうですネ…」と言って話し始める人が多く気になっていました。多田道太郎も『しぐさの日本文化』のなかで、「たいていの人が「そうですネ」ということばで口を切る」ことに注目し、これを日本人の民族的無意識である「同調志向」のなせるわざと考え、ことばを切り出すのに必要な勇気をふるいおこす同調の咳払い(一種のしぐさ)と見立てています。なるほど言われてみればそんな気がします。(40年以上前の本なので、「そうですネ」は最近のことではないんですネ。)2014/03/16
つゆき
1
あいづち、低姿勢、はにかみ、微笑、作法、座礼、すり足、咳払い、くしゃみ etc... しぐさや身振りに日本文化の表徴を見るエッセイ集。2011/10/21