内容説明
水には目ってやつがある。石と同じで目を縫って泳ぐと嘘みたいに軽い。おまえらはサカナになれ、と言った監督は無理心中で死に、友だちの新井は朴と名前をかえた。水泳部をやめた僕の高3の夏休みはこうしてあっけなくすぎた。「在日」を生きる青春をとぎすまされた文体で描く表題作を含む7つの短編集。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とくま
2
×P70中断。表題作の雰囲気は好き。2016/01/31
ミツ
2
日本人の手によって書かれた「在日」短編小説集。 在日小説なのに「二つの祖国」「アイデンティティ」といったテーマを中心に沿えず純粋に小説として読みごたえがあった。 特に『一九八六年の冬』は地の文がほとんど会話の応酬で書かれていて臨場感がうまくでていて好き。2009/02/14
ういきゃさん
1
短編集です。今でこそ、韓流ブームですが、一世代前の韓国と日本との微妙な関係性を若い主人公たちの目で鮮やかに映し出します。特にタイトルとなっている「水の中の八月」は文章で夏が感じられる素晴らしい作品だと想います。
nana_hyr
1
何が面白いのかいまいちわからんかった。
24う゛ぃれっぢ
0
水泳部ものの小説が読みたくて手に取ったんですが…ちょっと毛色が違いましたね…純粋な水泳部ものとなると、吉田修一の短編くらいなんでしょうか… 「在日」を題材にした短編小説集ではありますが、国籍の話題が出てくるまでは、どれも、ありふれた日常の話でしかありません。このあたりは、後書きにも書いているような「在日」とひとくくりにされる人たちも、この、なにげない、日常社会を構成するメンバーであり、特別な存在ではないという、作者の思いからくるものなんでしょうね。2014/09/15