内容説明
息子と引き離され、平壌に拉致された浩美。浩美の義父と恋人は、北朝鮮へ救援に向かう。一方、テロ集団・日本赤衛軍は新たな人物に狙いを定め、フィリピン・マニラへ。ターゲットは商社支店長。誘拐集団にも、被害者側にも、隠された思惑があり、事件はいよいよ混迷してゆく。現実の誘拐事件「若王子事件」をモチーフに、ソウル・オリンピック直前の北朝鮮とテロ組織の謀略を、恐ろしいほどリアルに、壮大に描き出す「今だから理解できる真実の断片」に満ちたストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まつうら
18
(上巻の続き)下巻は場所を変え、フィリピンで三井物産の支店長誘拐事件が描かれる。30年以上前のことなので、当時の報道のことはよく覚えていないが、本書に書かれていることは事実に近いのではないかと思わせる。中でも目を引くのが、人命重視でいくらでもカネを出すつもりの日本と、安易に犯人グループに屈するべきではないとする西欧の考え方の違い。この考え方の違いはいまだに残っているのではないだろうか。エピローグでは大韓航空機爆破事件を示唆する人物が登場しており、最後まで徹底して描かれる北朝鮮の闇は恐怖だ!2021/12/02
ジョルジョ
1
北朝鮮に拉致され、何とか脱出できた話だが、実際は、多くの人が拉致されたまま、一生を終えるのだろう。2018/10/15