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内容説明
焼けただれたロザリオの鎖だけを残して逝った妻を偲びながら、2人の幼な子をかかえ、再建と希望へむかう一家のありのままを描いた永井博士の永遠のロングセラー。
時には、娘カヤノを養女にもらいたい、あるいは博士本人の後妻の話も舞い込む。そのつど博士は考える。10年もすればこの子たちも成人となり、やがて家庭をもち、父となり母となる。その時、父の真意を理解してくれるだろう。「お母さん」の面影はたった一つだからこそ尊いのだ、と。
ある時カヤノ宛てで、送り主に心当たりのない小包が届く。恐らく読者からだろう。当人に開けさせると着せ替え人形で、帽子、靴、布団、枕まですべてお手製の立派な裁縫だった。
小踊りする娘を見ながら、「こんな楽しい遊びの世界が、与えればカヤノにあったのである。それを男親の知らぬ悲しさ」――。ほのぼのとした人間味が、涙を誘う。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
5
永井隆記念館に行ってきて、彼の字や絵に触れてから読んだ。カトリック原理主義的なところ家父長的なところ、核の平和利用に肯定的な思考には強い反感を覚えるが、おそらくこれはkindleの抽象化された文字記号から零れ落ちたものもたくさんあるからだろうと想像する。民主主義が抱える愚かさはこの時から感知されていたのかと少し驚く。むしろ戦後すぐの時期だからよりわかりやすかったのかもしれない。2020/07/28
Butterfly
1
"あなたの隣近所を見回してください。(略)日陰に隠れて、じっと涙をたたえている孤児や半孤児や孤児予定者がきっといます。" 仙台から離れた長崎、しかも時代は約70年前。 けれど、沿岸部にはまだ哀しみがある。決して遠い話ではない。 身近では、最近石巻でのボランティア活動人数が減りつつあると聞く。 出来る事は何か。 短文だけにひとつひとつ考えた。2017/12/24
@yoshida4516
0
永井隆 サンパウロ 出版 199506202021/10/02