内容説明
伝説も生まれぬベネズエラの涸れた油田地帯には多数の難民が住みつき、マリアという聖女が人々の団結の象徴となる。その中の鍛冶と丹波という屈強な日本人が地主の攻勢に備えた。その土地から希土類(レア・アース)という超伝導素材が大量に発見され、巨億の利権に目が眩んだ男たちの殺戮劇が始まる。南米3部作第3弾! (講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
53
奪った二千万ドルを追う日本人二人、枯れた油田地帯から発見されたレアメタル、難民を中心とした新興宗教。様々な思惑と欲が絡み合い、伝説の無かった荒蕪の地に血の雨が降る。読んでいて思い出すのは有名な日本映画、男たちが集結していく様や印象的なラストシーンなどはどうしてもその映画の画面が脳裏に映し出される。全編一人の男に支配されていた『山猫の夏』に比べて、こちらは各視点から描かれるので全体像は掴みやすいが、緊張感は向こうが上かなあ。ラストも急ぎすぎてる気がするし。ただ読んでいる間は些事に気を取られず一気読みでした。2023/12/04
Satoshi
8
船戸与一の南米3部作のラスト。かなりの長編だが、退屈させることなく読める。舞台はベネズエラの枯れた油田地帯。そこはレアメタル鉱山が発見され、左翼革命家が麻薬組織から強奪した2000万ドルが眠り、コロンビア難民がマリアという聖女のもと共和国を建国しようとしている。名も無い地に男たちが集まり、血みどろの闘いが始まる。悲惨なラストだが、最後に生き残るのは虐げられた民衆であり、彼らこそ勝者である。結末は七人の侍のオマージュ。2019/06/01
デルタアイ
5
久しぶりの船戸本 南米3部作と呼ばれるだけあってページ数を忘れさせるテンポの良さ 多少強引なところがチラホラ見えてちょっと残念だが クライマックスからラストのどんでん返しまで緊張感が凄かった やはり生臭くて良し ☆8.52020/11/13
トレイルかめ
4
南米三部作、綿密で、濃厚なストーリーに、船戸節が、冴えまくる 2021/09/27
メグミ
4
南米三部作、コロンビア・ベネズエラ編。こんな最期あんまりだうわああん!名前すらない「伝説なき地」に運命に導かれるように集まるまでが緻密なストーリー展開で描かれ、必然的に血みどろの戦いが始まる。その結末は非情だ。よしわかった!南米には行かない!と思わず決意するほど手段選ばず何でもありだった。強奪した二千万ドルの隠し場所への旅が一番ワクワクした。船戸版七人の侍。第7回日本冒険小説協会大賞と第42回日本推理作家協会賞のW受賞。推•••理•••?2014/02/24
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