内容説明
叔父と話をしていると、私はなんだか、頭がおかしくなってくる。突然、「足が頭になった」だの、「お雛さまが、手に手をとって駆け落ちした」だのと言いだすのだから。ところがそれが、実は歴史上の〃大事件〃を解き明かす、意外な推理の緒なのだ。 永年の読書から得た豊富な知識を武器に、自由奔放? に展開する、歴史マニアの叔父さんと姪の〃名推理〃。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みっつ
14
15年前に文庫オリジナルとして刊行された短編集。解説は鮎川哲也。そして、間違いなく歴史ミステリの隠れた傑作。収録された7編は平安時代の事件をテーマにしており、藤原氏を軸に朝廷内での権力闘争が度々登場し、マンネリに陥りそうなものだが、飽きさせない魅力がある。枕となるエピソード(御伽噺や川柳など)から語り手と変人の叔父との軽妙なやり取りで興味を引き、脱線しつつも綺麗に落とす構成の妙が大きい。お気に入りは「おちゃっぴぃの系譜」で1つの単語から全く予想外で美しい物語を紡ぎ出す壮大な法螺吹きっぷりは今作の醍醐味!2010/09/15
Berlin1888
0
軽く薄く、主に平安時代の事件をあつかった歴史ミステリ小ネタ集。歴史をひっくり返すといった大技ではなく、このエピソードはこんな風に解釈するのが筋が通るよね、と小技を利かせた軽妙な作り。平安文学ファンじゃないと知らないでしょ? といいたくなる話題をあたかも一般常識のように語り合える登場人物たちに時代の流れを感じさせられます。作中ベストは「おちゃっぴぃの系譜」。2014/03/10