内容説明
鬼に我が子を食い殺された女。腹を裂かれ、血まみれの我が子は、まるで赤い着物(べべ)を着ているようだ。女はやがて鬼になり人の子を……。そんな鬼女伝説が残る町に娘を連れて20年ぶりに帰郷した千鶴は、幼なじみの知人の幼い娘が扼殺され、古井戸に投げ込まれたことを知る。それは、同じ場所で20年前に起きた幼女扼殺事件と状況がそっくりだった。やがて、他の幼なじみの子供たちも次々と殺されていく。鬼は誰か!? “ことろ”の童謡が恐怖を呼ぶ、戦慄の長編ホラー!!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
147
実に素朴に面白い!派手さや特別な仕掛けなどに頼らず読ませる様は、人柄で例えるなら質実剛健。「どの子をことろ」『赤いべべ着せよ…』と唄われる不気味な童歌と、夜叉に赤子を喰らわれた女が人の子を襲う鬼と化した鬼女伝説、この2つの武器だけで最後まで一気に読ませる!ドキドキの展開とともに、愛すべき存在を失っての自暴自棄が生む狂気や嫉妬の描写は生々しい…何となく予測していた真相も少なからずカスって満足(笑)エピローグで語られる事実にも「やっぱり、そこら辺…」とつぶやいた。何よりゾッとさせられるのは“赤いべべ”の真意!2020/09/04
Tetchy
124
何とも人の業の深さを痛感させられる物語だった。我々の正気は安心の上で成り立っていることがよく解る。安心が崩れるのは資産が無くなったり、家族が喪われると云った大きな危難に留まらず、例えば子供が云うことを聞かない、試験に自分の子だけ受かっていないというちょっとした日常の不具合から容易に生じる。作者はそんな日常にこそ狂気の種が既にあると仄めかしている。300ページにも満たない長編ながら、幼馴染の絆の脆さ、我が子を喪うことで容易に陥る人間の狂気、1つの母子家庭の自立など、色んなテーマを孕んだ濃い内容の作品だった。2018/11/02
りゅう☆
100
娘を鬼に殺された母は鬼となり人の子を殺す。そんな鬼女を観音像に封印したといわれる神社がある。ある日、6人で一緒に遊んでた女の子が殺され犯人は見つからず、その母は病み…。時は20年後。夫を亡くし娘を連れて再びこの町に戻って来た千鶴。6人は再会するも、我が子たちが次々と絞殺される。その怒りの矛先は千鶴に。犯人は今や老女となった母と息子なのか?そしてある計画が実行され…。事件の真相、エピローグでの新真実は意外だし、加賀親子は不憫で物語の設定は面白いと思うけど、千鶴は恨まれ損過ぎだし、内容の流れが軽い感じがした。2016/10/28
rio
37
子を喰らうという鬼女伝説が蔓延る町に帰郷した母娘。しかし20年前と同様の子供殺しが相次ぎ、鬼女の存在を疑い始めるホラーミステリー。恐ろしく悲痛な事件の様子と端々に登場する子トロの歌がマッチしていて不気味な雰囲気を醸し出していました。憎しみの連鎖によりここまで人は残酷になれるのかと恐ろしい気持ちにさせられます。決して後味の良い作品ではないけれど、繰返し読みたくなる不思議な魅力のある1冊でした。2014/06/17
ぱなお
32
鬼女伝説が残る町で、子供が殺されて古井戸に投げ込まれて遺体で見つかった事件があった。20年ぶりに娘を連れて戻ることになったが、またしても子供が次々に殺されていく。ちょっと怖い童謡と町に残る伝説。そして、古い洋館に住む車椅子に乗った老女と唇に傷のある息子。ホラー要素盛りだくさん。犯人は幽霊的な存在なのか、人間か…。一番怖いのは優しいふりをしてる人間なのかもしれない。今邑さんの本は読みやすいから、サクサクすすむ。2020/05/25
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