内容説明
あで姿で大江戸の人気をさらう上方芝居の若手女形・雪之丞の胸には、重大な決意が秘められていた。豪商だった父と母を奸計で破滅させ、無残な死へ追い込んだ長崎奉行と輩下の商人たちが、いま江戸で権勢を振るっている。親の仇、恥知らずの悪人どもを許すことはできない! 免許皆伝の腕を美貌に隠し、雪之丞は侠賊・闇太郎とともに復讐の時を窺う。絢爛たる設定、手に汗握る展開、これぞ大衆小説の粋!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
17
実は青空文庫。コメントは下巻にて。2017/04/19
NICK6
8
復讐物である。新聞小説で発表されたので、適度な章と場面が細かい区切りで、語りもシャープである。盛り上がる箇所では著者もノリまくって描いている感じだ。豊穣な語彙と文脈を力みなく作っている上に、喜怒哀楽の振幅の長い会話は誤読しようがないわかりやすさ。おまけに心理描写でも、その特長そのまま縦横無尽に補足されるからある意味過剰なのだが、悪い印象は受けない。濡れた情念、命を賭けた偏愛、これでもかという位に徹底的。嵌まると快感です!さて。敵役が剥き出しに対決色出さない前半はちょっとスリルに欠ける印象だが、後半期待 2025/02/08