内容説明
「おまえに殺された女は、俺のおふくろだ」売春婦を斡旋した容疑で取調べをしていた坂本トミに、私は言った。 かつて、トミは、玉の井の娼館で働く母・平山つや子を殺し、服役したのだ。だが、彼女は殺害を否定した! 刑事ではなく個人として、私は「過去」を探り始める……。(私娼窟の女) 遠い過去からよみがえる真実。情感あふれる連作推理の傑作!
感想・レビュー
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mintia
7
戦中・戦後の貧しかった頃の東京の様子が描かれている。綺麗事だけでは食べて行けず、生きていくために体を売った女も沢山いたのだろう。2024/04/04
真理そら
4
昭和前半頃を舞台にした切実な犯罪が過去から蘇ってくるというやや松本清張的な短編集。が、この作者はこういう時代を描いてもしっとりとした情緒がある。『15年目の訪問者』では新内・明烏の稽古をする男が登場したり…。『私娼窟の女』『夫婦棺』『孤児の恩誼』『過去からの谺』『十五年目の訪問者』『父が消えた』『母娘塚』2018/01/02