内容説明
妻に去られて一人暮らしの翻訳家の悠治は、相前後して二人の美女と知り合った。女神のような典子と、妖精のような悦子である。悠治は交互に二人と体を重ね、旅先で、アパートで体が軋むほどに愛し合った。性の瞬間だけが生きていく上で確かなものに思えた、つかのまの日々。やがて熱い愛情は三人を固く結びつけてゆくが…。愛することで人は本当に孤独から逃れられるのだろうか?直木賞作家がその問いに答えて書いた、恋愛小説の白眉!性の根源を描き切った、と絶賛された一冊です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
世玖珠ありす
4
どっぷり官能小説。主人公が二股かけてる話なんですが、あまりの精力絶倫ぶりに苦笑してしまいました。でも、文章は上手い!さすが直木賞作家サンです。濡れ場ばっかりですが、二人の女性の違いがちゃんと出てました。2015/03/22
Chocolatcorne
2
美しく端麗な日本語が彩る官能と愛欲。翻訳と随筆の大家、故・常盤新平による官能小説の極致。ストーリーはありがちなものの、丁寧なディテールで、常に熱く、そして時に冷たい氷のような眼差しを持った、色あせない男と女の物語です。ひりひりするような男と女の心理描写も印象的でした。
Miho Haruke
1
『夢幻の山脈』を読んだら思い出したので再読。ひどく殺伐とした官能小説。殺伐とした、と書くとつまらないみたいだがそうではない。でも夢はない。2014/09/11