山月記・李陵

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山月記・李陵

  • 著者名:中島敦
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 岩波書店(2012/04発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003114513

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

夜間飛行

154
遺作とされる『李陵』。匈奴との戦を通してヒロイズムの対極にある冷徹な「義」を印象づけており、これは作中で司馬遷の使命感とも重なっていく。しかし後半、「義」が人間性と対立する所が痛い。宮刑にされた司馬遷は恥にまみれて史記を書き継ぐ。漢への怒りを抱いて胡の地で生きた李陵は、同じ境遇にあって「義」を曲げなかった蘇武を前に慚愧と畏れに打ちのめされる。二人の自己嫌悪に向ける作者の眼差しは、『山月記』の主人公…虎に変身した李徴に向ける眼差しに通じるか。硬い漢文調で柔らかな心を描き出した作者の葛藤について解説に詳しい。2019/10/13

Willie the Wildcat

87
『山月記』最後の場面の慟哭は、内なる自身を曝け出すことができないもどかしさ。自尊心と臆病な羞恥心、故の虎也。対照性の妙が『李陵』。司馬遷/李陵/蘇武。自分を問い詰めた司馬遷、何処か他人事の李陵、老子の無心無欲を字で行く蘇武。心底の義が各人の”天命”の差。西遊記の印象を変えた『悟浄出世』と『悟浄歎異』。求道姿勢。勝手な解釈だが彷徨う世間の”欲”の渦。お告げを授かり師事する法師と悟空。対照性が導く気づき。寝顔・寝息で”点火”とは、文字通り温かい。『弟子』の子路の一途さとガサツさの魅力。最期の場面はグッと来た。2020/05/11

nico🐬波待ち中

66
万城目さんの『悟浄出立』を読んでから、どうしても読みたかった一冊。万城目さんが学生時代に愛読していた中島敦。その中島氏作『悟浄出世』『悟浄歎異』の続編として『悟浄出立』を書かれたという。中島氏の『悟浄…』二編を読んで納得!確かにこの二編の流れを万城目さんは丁寧に引き継いでいる。客観的でどこか冷めた所のある悟浄が、悟空に憧れていることに驚いた。できれば万城目さんにはこの続きを引き継いでいってもらいたい!この他、ちょっと笑える寓話的な物語あり旅行記ありと盛り沢山の短編集。でもやっぱり一番好きなのは『山月記』!2017/01/31

藤月はな(灯れ松明の火)

66
ほとんどが既読。『山月記』は何度、読んでも胸に残ります。果たして自分は「臆病な自尊心と、尊大な羞恥心」によって虎と化していないだろうか。文字が意味を為さない生物に見えるようになった偉大なる史学家の悲劇を描いた『文字禍』は文字に依存する読書家にとってはぞっとする話だと思います。文化相対主義が垣間見える南国でのエッセー『環礁』は作者の夭折を予感させる一文に胸が締め付けられます。『牛男』での始めは穏やかに信頼を勝ち取るが静かに暴虐に主人を支配する牛男は主人の息子というよりも死を含めた不条理そのもののように感じる2013/09/25

65
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2021/01/post-a2b82b.html それでも、話を聞いてくれる友だちがいて良かったとも言えます。2021/01/31

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