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内容説明
ときは南北朝時代。中世特有の宗教心と組織の理論が発達し、人間が人間らしくいることが非常に難しくなったこの時代に、ばさらと呼ばれる一群の人々が誕生した。ばさらとは、規格化・画一化を何よりも嫌い、自己の個性を遺憾なく発揮し尽くした人々である。現代と相通ずる世相を活写し、人間、この世をいかに生くべきかを問う歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Smileえっちゃん
39
久しぶりの童門冬二さん。南北朝時代、人間が人間らしく生きる事が難しい時代、ばざらと呼ばれる一群が誕生した。なんと勝手な振る舞いをと感じながら読み進めた。ばざらの意味も分からずに・・・ばざらとはサンスクリット語で金剛石(ダイアモンド)派手な格好で身分の上下なく振る舞うもの達。佐々木道誉はざら大名として民から慕われていたとか。こんな事をしているのにと思ったが最終章は格好良かった。 2024/09/04
MJ
22
いつの時代にも、そしてどこの国にもある、社会的新興勢力 (ばさら者) と伝統支配階層との対立。この小説の特徴は、その背景にある伝統的価値観への憧憬とその反動としての破壊衝動に焦点を当てたことだ。革命勢力のエネルギーは常に憎しみと嫉妬であり、そのネガティブなエネルギーが原因となり、その多くは自壊に至るのである。ばさらの栄枯盛衰と諸行無常の物語。2020/12/04