内容説明
路上に身をひそめて立ちつくす者達。彼らの吐く息が、あらゆる嘘を撃つ。尾崎豊の、痛ましいまでの透明感の秘密がこの小説集にある――村上龍 真実を求めて苦闘する孤独な魂。生きることの悲しみ、怒りにもがく純粋な精神の軌跡を綴った、恐るべき処女小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobody
16
独特の言葉遣いをする人だとは思っていた。紛うことなくゴーストでなく尾崎による筆致である。〽オイラの〜胸の〜心の〜という歌詞の世界では貴重な才能だし、『仮面の告白』や『ランボー詩集』が認められる文学の世界でも渡っていけただろう。だが私が愛するのは、『卒業』や『十五の夜』等初期の名曲のようなシンプルでストレートな歌詞の世界である。『LOVE WAY』でドラッグの世界を描き『普通の愛』で夫人を描くという全き妥協と呵責のなさは、寸毫常人の及ぶところでない。尾崎は最期まで貫き通した。緩衝として斉藤由貴が必要だった。2020/07/21
ナチュラ
16
尾崎豊の私小説かと思わせる短編集。 生き急いだ運命を思わずにはいられない。 留置所の体験を綴った「フェアリー・ウィスパー」、壊れた夫婦の関係の「普通の愛」、 兄との思い出の「雨の中の軌跡」が印象的だった。 読み終わっってからの余韻で胸を締め付けられる感覚はめったに無い。2015/05/19
me
9
感度が高い人間であればあるほど、この世はノイズだらけだと思う。常人であれば気に留めないものでも受信してしまうアンテナを持っている為に生きづらくなる。自らの罪と醜さ、周囲からの重圧、裏切り、誘惑、様々な目に見えないものに最後まで苦しみ続けた彼。彼の歌声や楽曲にある「渇望感」は、荒々しくも寂しく繊細な彼の生き様そのものなのだろう。この社会に、そして自分に抵抗し続けた彼の痛切な叫びなのだろう。彼が生きた時代に私も生きていたかった。同じ時代に生きて歌う彼の姿を同じ時代で見ていられたら、私は何を思っただろうか。2017/10/30
ぷりん
5
尾崎豊が実際に経験したことから書いた、小説というより随筆なのだろう。 覚醒剤。「これは僕にとって人の求める幸福の答えを知る唯一の、神に近づこうという最大の挑戦なんだ」その発想が新鮮だった。それと、愛は疲れる。その二点が印象に残った。読んでいるこちらまで心が苦しくなってしまう本。普通の愛って、つかめない。この世にある邪悪なものをすべて受け止めようと、真摯にひたむきに、生きていけるような人、そういう人を彼は求めていたのかな。私もそういう人になりたい。2013/09/01
MILKy
4
【売】もう、いつ読んだのか分からないくらい、ずっと昔に読んだ記憶2019/07/28
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